リモートワーク前提の社会とメンタルサポート

最終更新日:2020/06/28

Writing by:奥畑大介

2020年3月、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が拡がり、これまで当たり前に過ごしていたはずの日常が消え、生活の上での常識がひっくり返りました。マスクや消毒液が店頭から姿を消し、国からは外出を控えるよう通達が出され、国民全員が不安に感じる中、追い打ちを掛けるように感染拡大を防ぐために密閉・密集・密接のいわゆる3密を避けることが徹底され、撤退を余儀なくされた事業所も数多く発生しました。

リモートワーク原則時においてなお残る出社前提業務

そんな中、弊社さくらインターネットでは、幸いにも事業への大きな影響はなかったものの、すんなりと全員がリモートワークへ移行とはいかず、出社が前提となっている業務が多数ありました。

また、これまでは「リモートワークも可」という立て付けであったため、そもそもリモートワークをしたい人だけがするという環境でした。それでも3月2日には「原則在宅」、4月8日の緊急事態宣言が発令されてからは「出社禁止」の会社命令が下ります。

さくらインターネットでは世の中の様々なデータをお預かりするデータセンターを運営しており、そこでは24時間365日に渡って監視や運用保守などをエンジニアの手によって行っているため、事業継続のために出社せざるを得ない社員も発生しました。

それだけではありません。契約書などの配布書類、押印対応など、事務対応をされている社員においても、終日とまではいかずとも、週に数回は出社せざるを得ないといった状況が発生していました。

出社禁止命令を受けて何が起こったのか

実際、4月8日に全社員に「出社してはいけない」と会社命令が下ったときに、社内でどういうことが起こったのかについて少し触れたいと思います。

まず、シンプルに出社したい社員と出社したくない社員に分かれました。正確な数値は取れておりませんが、出社したくない人の割合が上回っているような感覚でした。感染リスクがある中でも出社したい人の理由としては、概ね次のようなものがありました。

・自宅に仕事環境が整っていない
・ ペーパーワークや押印処理などの業務都合上の理由がある
・ 顔を合わせて会議やお客様対応を行いたい
・ 同居している家族の関係で仕事に集中出来ない
・ 自宅では仕事スイッチに切り替わらない

出社したいにも2種類あることが判明し、「仕事上オフィスで実施するほうが良いまたはオフィスでしか出来ない仕事がある」という点と、「自宅は仕事をする前提でないため、環境が整っていない」という点でした。
この事情は理解出来るものばかりなのですが、とはいえ簡単に「出社して良い」とはならないため、極力出社しなくて済むようにしていく必要がありました。

まず、会社として最初に行った対応は、自宅の仕事環境を整えるための臨時手当や通信手当の支給でした。そうすると次第に、椅子や机を購入したというような会話が徐々に飛び交うようになりましたが、一方でそういった設備を置く場所がないという意見もありました。

次に、コミュニケーションの肝となるテレビ会議システムの充実を迅速に行うことを決定し、全社員にZoomのproアカウントを配布する対応を行いました。
他にも、VPN接続の手間を減らしつつセキュリティレベルを上げるゼロトラストや、必要に応じて会社の椅子やモニタを持ち帰れるようにもしました。とにかく必要となるツールには妥協しなくて済むように整備しました。

パルスサーベイの実施

次に、全社員対象に、人事部主導で週次アンケートという形でパルスサーベイを実施しました。2分以内で回答出来るような手軽な内容にしつつ、自由記入の項目を最後につけたものを作成しました。

アンケート自体の回答率は3割前後となりましたが、この結果から、リモートワークという環境の中で、「集中して作業が出来る」、「コミュニケーションが問題なく取れる」という回答が8割ということが分かりました。
これは、SlackやZoomなどのツールの充実させたことによるES向上の結果であり、改めて業務で使用するツールをケチってはいけないという知見を得ることができました。

一方で、外出すら満足に出来ない環境下におかれたことにより、不安やストレスを感じられている社員が約5割という結果が出ており、仕事環境や家庭環境によるストレスや、この状況がいつまで続くのか分からない不安の声が多数寄せられました。

また、椅子やモニタを持ち帰れるようにしていただいたところで、そんなものを置くようなスペースはないというような意見も出てきました。
また、フリーコメントにSOSに近い内容を寄せて頂くこともあり、そういった方へは人事部から適切なアプローチを行っております。アンケートを通じて、問題の早期発見と対応にあたることが出来たのでは無いかと考えております。

このパルスサーベイについては、緊急事態宣言が明けた今もなお継続しております。継続して取っていると、傾向の変化にも気付くことが出来ます。例えば不安に感じられているポイントについて、かつては仕事の環境や新型コロナに関する不安が多く寄せられていましたが、昨今では今後の働き方やオフィスのあり方についての不安に内容が変化してきております。
今後も社員の声に耳を傾け、変化に柔軟に対応する目的として、続けて行くことに価値があると信じております。

最後に、緊急事態宣言が開けた今、弊社では、これまで「リモートワーク選択可」という条件から、「リモートワーク前提」の会社でいくことを決めました。
もちろん、急に全てが変わるわけではありませんが、出社しないと出来ない業務をどうすればオンラインで対応出来るようになるかを本格的に考えるように変化しました。そのためのプロジェクトも立ち上がっております。

加えて、オフィスの価値や、対面であることの価値を考えるようになりました。まだ答えは出ておりませんが、集団での仕事を効率的に進めることについては、現時点ではオンラインが超えることが出来ない価値であると言えるでしょう。また、共同体意識を育むという価値もあるだろうと考えております。

急速に変化を求められているこの世の中ですが、変化に対して抵抗感がある人も必ずいます。そういった方の声をしっかり聞ける環境作りを忘れずに、目指すべきビジョンと、その土台となる制度やツールはしっかりと会社が整えることが重要なのではないでしょうか。

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執筆者

奥畑大介

大学卒業後、2年間の飲食業界勤務を経て、2007年にさくらインターネットへ就職。
約10年間データセンターでオペレータや管理者として従事していたが、後に人事部へ社内ジョブチェンジを行う。勤怠管理業務を中心とし採用・教育などに関わるだけではなく、バックオフィス系イベントを運営するなど、人事としての幅を広げている。
更には、会社事例を基に行うセミナーや、趣味のボードゲームを利用したコミュニティワーク、カレースパイスのオンラインショップなどの複業も行う、チャレンジ精神豊富な30台後半系男子。

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