成長の階段を踏み外さない組織づくり

最終更新日:2020/07/14

創業期のアマゾンは、従業員数が3年で50倍になった。グーグルは6年で55倍、フェイスブックは5年で20倍。いずれも同期間の収益は200倍以上の伸びを示す。

成長ステージ別の組織運営

スタートアップ企業にとって、これほどの企業規模の拡大は目指したい理想の姿と言えるが、実際組織が急拡大するとはどういうことなのか。現在、多くの企業から組織の成長痛に纏わる相談を受けるが、事前に想像できている経営者は多くない。

シード、アーリー、ミドル、レイターと言われる成長は、一般的には次のようなフェーズとなる。

・シード =価値訴求。将来性のある事業ドメインを選択するフェーズ
・アーリー=エコノミクス。マネタイズモデルの構築と仕組み化
・ミドル =規模化。オペレーション戦略をもとにPDCAをまわす
・レイター=持続化。システマチックに変化を起こすことで進化する

組織づくりの面から見ると、この4段階はそれぞれ異なるとらえ方をしないといけない。前段階と同じ感覚で組織運営をしていると、齟齬が生じてくる。従業員数は増えたのに見合う成果が出ない、社員が定着しない、コンプライアンス上の問題が起こる……、といった壁にあたることはないだろうか。それは人に問題があるのではなく、組織づくりのフェーズの転換ができていないからかもしれない。

先の4段階における組織づくりの違いは、次のようになる。

・シード=全員野球。創業者の熱量とフラットな組織で活力を出す
・アーリー=戦略性。採用スピードが増す中、ビジネスの伸びが人の成長を牽引
・ミドル=拡大。組織化を進め、ミドル層の充実を進める
・レイター=変化対応。仕組み化を進めると同時に、多様性への対応も求められる

たとえば急拡大を続けるある組織は、創業メンバー3人で立ち上げ将来性あるWebサービスをリリース。その時期には、「このサービスが広がったときにはこんな世界が広がるはず」「このサービスは絶対人をハッピーにする」という話を毎日交わしながら、サービス構築に四苦八苦し、資金調達に汗をかく。

途中から参加した数名も含め、いわゆる「創業期の苦しい時期」を共に過ごす中で、「自分が何とかしないと事業が続かない」と頑張る状態。お伺いをたてたり、ためらったりしている余裕はなく、必然的に皆が同じ方向に向かい自律的に動くようになる。

ビジネスが拡大してきた2年目からは、さらに人を増やし、3年目には転職エージェントを使って採用活動も始め、知り合い同士のフランクな関係だった組織に、まったく新しい人が加わる。ベンチャーキャピタルからの出資相談も進めていたなかで、紹介による幹部社員も入ってくるだろう。

きっとここまで成功している企業は多いかもしれない。ただここで重要なのは、常に次の成長の課題を予測し、戦略的に準備できるかだ。

こういう変化のときに組織づくりの先手をうつことができると、ステージの転換がうまくいく。「これまでこのやり方でうまくいったから」で片づけるのは禁物。創業メンバー側が「内輪」感をもってしまうと断絶が起こりがちだ。

「個の力の集積」から「組織力をいかに発揮するか」

「個の力の集積」から「組織力をいかに発揮するか」への転換時期。施策としては、一人一人の期待役割を明確にするための地道なコミュニケーションや、経営陣の人格を会社としての社格にするため、ビジョンの浸透を丁寧に進めていく。

この頃までは社長が直接様々な部門判断を下すなか、ビジネスが成長し、従業員数も増えるとそれでは追いつかなくなってくる。アーリーからミドル期になる頃には、部門長やマネジャーの任命や権限委譲が進んでいく。

階層を多く設ける組織なのかフラットな組織なのか、その設計は経営方針によるものだ。ただし共通するのは、業務フローや意思決定フローが明確になっていること。それがスピード感を持って進められる源になるはずである。

一方、成長期の企業はすべてが計画通りに進むものではない。イレギュラーの中に新たなヒントがあり、新しい芽を取り入れることで次の発展がつくられるものである。

組織づくりも、効率的な仕組み化を進めつつ、多様性への対応(たとえば提案の奨励、新しいタイプの人の採用、様々な働き方の許容など)を忘れずに取りこみたいものである。

執筆者

堀尾 司

CANTERA責任者 兼 講師
(株)All Personal代表取締役CEO 1973年北海道生まれ。1994年(株)リクルート入社。2004年ソフトバンクBB(株)入社。ソフトバンク通信事業3社を兼任し、営業・技術統括の組織人事責任者に従事。2012年グリー(株)入社。国内の人事戦略、人事制度、福利厚生、人材開発の責任者を歴任。2014年より東京東信用金庫に入庫し地域活性化に従事。2017年6月(株)AllDeal創業。2018年11月、(株)All Personalに社名変更。

成長の階段を踏み外さない組織づくり

創業期のアマゾンは、従業員数が3年で50倍になった。グーグルは6年で55倍、フェイスブックは5年で20倍。いずれも同期間の収益は200倍以上の伸びを示す。

変化に強い「俊敏な組織」をデザインする秘訣

「組織は戦略に従う」とは、歴史学者アルフレッド・D・チャンドラー Jr.の言葉で、邦訳書のタイトルにもなっている。経営に用いられる多くの用語と同様、「戦略」とはもともとは軍事用語からきている言葉だ。長期的、全体的展望に立った闘争の準備のことを指し、具体的な遂行策をたてる「戦術」よりも上位概念といえる。

その「言い訳」が、思いもよらない組織風土に

組織の変革を進める際に、よく話題にあがるのが「組織風土」だ。 「うちはすごくかたい風土です。何をするにも前例主義なんです」 「新しい行動を奨励する風土はあるのですが、目の前のことに手いっぱいで動き切れていないんです」  こういった発言を人ごとではないと感じる人も多いのではないだろうか。

採用CXを行う前に抑えたいこと

採用CX=採用プロセスにおける候補者の体験価値の向上については、どの企業の採用においても組み入れたい手法であり、また売り手市場の候補者に対しては、必要不可欠だと思っています。

組織の成長のために必要な「再現性」と「環境づくり」

1+1は2以上になるのか。数学ではもちろんあり得ないが、組織ではよく引き合いに出されるたとえだ。会社という組織になると、1人では成し遂げられないことが実現できる。効率的な分担によって量の拡大が可能になり、1人では思いつかない発想を形にすることもできる。

部下のやる気スイッチを探せ

報酬を多くもらえれば、「やる気」が高まるのが常だろう。しかし、報酬だけがやる気の源泉とは言えない。