育休明け社員にいきいきと活躍してもらうのは、お互い様感

最終更新日:2020/07/06

Writing by:平岡 いづみ

ダイバーシティとは、簡単に言うと、国籍、性別、年齢、宗教、ライフスタイルなどに固執することなく多様な人材を受け入れることです。最近は男性の育休取得や、高齢者雇用など国が推進していることもありますが、まだまだ自信をもって当社は大丈夫だ!といえる会社は少ない気がしています。

多様な人材の活躍は必要

どのような企業でも、特にベンチャー企業においては、生産性人口が減少している中で、優秀な方を採用し長く活躍してもらうために、多様な人材の活躍が会社の成長には不可欠です。

今回は、優秀な育休明け社員をどう活躍していただくか、を書いてみました。

育休明け社員の復職申し出での悩み

育休明け社員から復職の申し出があったら、まずはその復職社員との面談、部署での業務調整が必要になります。ただ、ベンチャー企業の人事としては、復職者が初めてだったりすることも多く、本人に働き方をヒアリングする前に悩みが発生します。
もちろん、特にベンチャー企業では人不足のなか育休から戻ってくる社員がいると大変助かる、優秀な社員が退職せず戻ってくるのでよかった、等は思いますが、同時に以下のような不安も生じます。

・急にお子さんが体調不良のときには早退や休みになると困る
・残業なし時短勤務で周囲がフル勤務な中どの業務を任せるのか
・1年くらい職場を離れている間に仕事へのモチベーションが下がっているかもしれない
・産休前はバリバリ働いていたが同じ働き方ができるのだろうか?など

そして、人事としては、原則元部署戻しという形で進めようとするも、現場からは「今業務は回っているので、育休明け社員の受け入れはできない」など言われたりして、またまた悩んだりします。現場のマネージャーの真意は、「忙しくて明らかに人手不足であっても、時短勤務をマネジメントしたことないから受け入れる自信がない。彼女がフル勤務で戻ってくるなら戻ってきてほしい」だったりします。
いろいろ悩みつつも、どのような働き方が可能なのか、本人にヒアリングします。

復職前ヒアリング

復職予定本人と面談、もしくは以下項目を本人からアンケート形式で本人から希望をヒアリングします。
【復職時ヒアリング事項】

・オフィス出勤が可能な時間 〇時~〇時/●曜日
・在宅勤務の希望有無(社内制度による)
・お子様の保育園(土日は休み、行事は平日実施など)
・急な休み時の家族サポートの有無
・地域サポート制度
・業務内容の変更希望の有無
・所属部署の異動希望の有無
・復職にあたり配慮が必要なこと

復職プランの作成

ヒアリング後は、勤務できる時間や負荷度合いを考えて、復職プランを設計します。

業務内容設計①:原則は元部署への復職ですが、勤務時間などによって元部署への復職が難しい場合は他部署での受け入れを検討します。ここで注意が必要なのは、時短だからということで本人のスキルや適性を観ずにパズルのように当てはめてしまわないように気を付けます。あくまで人財活躍の観点を入れて作成します。

業務内容設計②:本人のスキル、人柄を考えて適切なミッションを設計。ここが一番難しいです。なので、だいたい目途としては、産休前の仕事に関連するサポートから入ることが多いようですが、上記働き方に記載したように同じ仕事内容の目標を復職~半年くらいの間は調整することもあります。

サポート体制:お子さんの体調不良等で早退や欠勤をする間のサポート誰がどのように行うのか大まか決めておきます。基本は現場マネージャーと調整します。

働き方:復職早々からエンジンフル回転でできる人はそんなにいないので、おおまかに以下で設計します。あんまりガチガチに設計してしまうと修正が難しくなるので、柔軟に対応できるように設計します。

復職~3か月:子育てをしながら働くことに慣れる期間。時間あたり0.6-0.7人くらいの業務(この間、早々に業務に慣れる場合は、0.8-0.9人くらいに途中で変更していく)

3か月~6か月:子育てと仕事の両立を支援しつつも徐々に仕事の進め方に慣れてもらう期間。時間当たり0.7-1.0人くらい。

復職時面談

復職時配属部署と先述したプランを打ち合わせし、本人と復職時面談を行います。面談は人事のみ、現場のマネージャーのみ、現場マネージャーと人事一緒に、のいずれでも可能です。個人的には、できれば人事だけよりも現場マネージャーと一緒に面談参加するほうがいいと思っています。
本人と業務やミッション、また復職プランについて話をし、互いに納得感があるよう対話します。会社としても不安、本人も不安ななか、会社都合での制度としてこうなっているから、と一方的にならないように気を付けます。後の不満につながる可能性があるので。

復職

今回の記事の一番の肝です。大事なのは、“お互い様感”をどう醸成するか、ということです。正直、必ずと言っていいほど、復職するとお子さんの急な発熱等で早退や欠勤は起きます。そんなものです。
その際に、「子供がいるからって周囲に仕事を押し付けて帰宅してる(イライラ)」など不満がでてくることをよく聞きます。みんな忙しいので、その気持ちもわかります。
でも、独身でバリバリの方も時には風邪をひくこともありますし、1人で仕事をしている人はいません。お互い様なのです。自分が子供をもったとき、介護が必要な時に周囲に助けてもらう必要があると思います。各家庭の変化が生じるたびに活躍人材が退職してしまうことは会社にとってマイナスなので、ともに頑張りましょうとまずは人事と現場の管理者の意識を合わせるよう働きかけます。復職部署だけでなく、全社の管理者に理解をしてもらうのです。テクニックですが、人財確保の観点と管理者も介護が必要になる場合もあるかも等、自分事の話として感じやすいものにすると理解を得やすかったりします。

現場の管理者は、メンバーに、復職者がどういったミッションでどのような勤務体系で戻ってくるのか、また子育てと仕事の両立は不安なことも多いので、皆でサポートしよう、としっかりと伝えます。
各部門でのお互い様感が醸成されることがとても大事です。そのためにも、相互にできるかぎりコミュニケーションをとってもらえるよう人事としては支援できるようにしていきます。
そして、人事から復職者には、周囲とはできるだけコミュニケーションをとること、不安があれば上長にすぐ相談すること、上長に言いづらい場合は人事に相談すること、という話をし、安心して復職するように伝えます。私の場合は、テクニックですが、早退した次の日は飴などでもお菓子をカバーしてくれた方に「昨日はありがとう」と渡すといいよ、と言ったりもします。やはり感謝されていい気持ちがしない人はいないので。

可能であれば、復職1か月後・3か月後・6か月後くらいのタイミングで人事面談を行い、本人の状況把握や悩みをヒアリングするとよりベターだと思います。

まとめ

・優秀人財を長期に活躍してもらうには、お互い納得感があるよう対話すること。
・風邪をひかない人はいない、家庭の変化は誰にでも起こる、という前提のもと、業務はいつもお互いに支えあって成り立つので、お互い様感をもって取り組めるようすること。
・お互いにサポートしてもらったら感謝の言葉を伝えること。
・そのためには、現場を巻き込んだコミュニケーション設計を行うこと。

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平岡 いづみ

CANTERA2期卒業生。
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その後、人材ベンチャーの東京オフィス立ち上げのなんでも屋として勤務。
2006年から現リクルートキャリアにてリクルーティングアドバイザー、企画スタッフ、キャリアアドバイザーを経験。受賞複数。その間2度の産休育休を取得し共に復帰。
リクルートキャリア卒業後は、国の事業に関わったり、ベンチャー企業で人事として採用企画、規程改訂、制度、労務など人事全般と、総務、秘書など色々経験しています。
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