株式会社マネーフォワード 執行役員 人事本部長の服部穂住氏に聞く「コロナ危機における人事課題」の実情【第7回目】(後半)

最終更新日:2020/08/29

Writing by:堀尾 司

2020年5月1日(金)、WEB面接サービス「HARUTAKA(ハルタカ:https://harutaka.jp/)」を提供するHR Tech スタートアップ 株式会社ZENKIGEN(本社:東京都千代田区、代表取締役CEO:野澤 比日樹)は、日本初のCHRO養成講座「CANTERA」を運営する株式会社All Personal(本社:東京都港区、代表取締役:堀尾 司)と共同で、新型コロナウイルス関連の緊急対応に奔走する人事担当者の悩みにリアルタイムで答える「コロナ危機における人事課題の相談所Vol.7」を実施いたしました。 今回は株式会社マネーフォワード 執行役員 人事本部長の服部穂住氏をゲストに迎え、堀尾氏と清水が参加する形で1時間のウェビナーを開催しました。

登壇者プロフィール

服部 穂住 様
株式会社マネーフォワード 執行役員 人事本部長

2005年4月株式会社リクルートHRマーケティング東海(現株式会社リクルートジョブズ)に入社し、求人広告の企画営業及び組織マネジメントに従事。2012年5月グリー株式会社に人事として入社し評価・育成・福利厚生・社内活性化の責任者を務める。
2015年8月に株式会社マネーフォワードに入社。

堀尾 司 様
株式会社All Personal 代表取締役CEO

2017年6月(株)AllDeal創業。2018年11月、(株)All Personalに社名変更。現在、HRプロダクト開発をメイン事業としながら(株)ベクトルグループ、(株) PR TIMES、SMBCコンサルティング(株)等の人事顧問を務める。過去約200社のスタートアップや成長企業の支援実績。CHRO育成アカデミーCANTERA責任者。
Twitter: @horio_jp

清水 邑
株式会社ZENKIGEN コミュニティプロデューサー

2018年株式会社ZENKIGEN入社。HRTech領域のカンファレンス「NEXT HR カンファレンス」を立ち上げ。

記事後半では、フリートークでの質疑応答の詳細についてお伝えする。

Q1. 社員の交通費はどのように処理していますか。

服部:
今後が見通せないこともあり、4月の通勤交通費の支給は不支給とし、定期券を購入されている方には返金手続きをお願いしました。契約のタイミングによっては返金額もまちまちだったり、手数料を取られたりしますが、そこは先述した「リモート手当」で補っていただけるようにお願いしました。5月以降に関しては定期券を買わないよう呼びかけています。

Q2. 経済が停滞し、組織運営の見直しをする時期だと感じます。人事としてどのように事業戦略達成に貢献していけばよいのでしょうか。

服部:
4月は各種対応でバタバタしましたが、その中でも真っ先に行ったのは、やはりコストの圧縮ですね。対象の洗い出しは、経営陣全員で4月上旬にかなりのスピードでやりきりました。もう一つ経営に資するところで言えば、社員一人あたりの生産性を上げることに注視しました。ただ現状ですべての社員には手が回らないので、今は4月入社の新卒メンバーをいかに早期で戦力化できるかというところに、人事としてコストを投下しています。

Q3. オンボーディングについて伺います。新卒の即戦力化のためにどんな取り組みをされていますか。

服部:
大事にしたのは、一方通行にならないようにすることです。ベタに聞こえるかもしれませんが、毎日、日報を書いて、メンターや上司がそれにコメントするというスタイルをとっています。研修はZoomのブレイクアウトルーム機能を活用し、大勢でセッションの後に少人数に分かれて感想を交換し合ったり、ディスカッションを導入したり、工夫をしています。
入社後は基本的に現場にお任せしておりますが、新卒の成長を加速度的にアップしたいという思いからマインドセットを重視しています。研修後に経営陣が定期的に話す場を設けるなど、いろいろと走りながら考えています。

Q4. 今後もリモートワークを基本にしたワークスタイルを予定されていますか。

服部:
これについては経営陣でも現在でも議論しているテーマになります。その上で、オフィス勤務と在宅勤務の両方のいいところを活かしていく方向を考えています。
在宅勤務のいいところとしては、オフィススペースを効率化できる点と、通勤時間の削除などを通して働きやすくなったという社員の声に応えられるという2つが大きいと思っています。ただし、効率だけを追及するというよりは、会社として改めてオフィスの位置付けに関して考えるタイミングだとも考えています。

堀尾:
コストをいかに確保するかという点では、多くの会社が状況は長期化するとの予測に立ち、2年という基準を置き始めました。その上で現状では、働く場所についてオンラインとオフラインを使い分けるとおっしゃる方がほとんどです。オフィスの形態も1か所に集まるのではなく、地域に分散したり、シェアオフィスを借りるためのサポートをしたりなど、明らかにリモートにシフトしています。
事業戦略の変化に伴い、組織のデザインや働き方も変わったはずです。ついていけるよう、人事も経営者も頑張らなければいけないでしょうね。

Q5. リモートでの評価方法はこれまでと変わりませんか。アップデートする予定があれば構想を聞かせてください。

服部:
アウトプットが定量的に可視化されやすい職種、エンジニアや営業は評価しやすくなるという声を頂きます。一方、仕事に取り組むプロセスが見えなくなることで、結果に至るまでの頑張りを評価しづらくなるという声も頂きます。現時点で方法を変えるというよりは、6月に当社上半期の人事評価がありますので、そこでの検証を経て今後アップデートしていきたいと考えています。

堀尾:
先ほど服部さんのお話にあったように、社員の皆さんを評価するキーワードは間違いなく「生産性」です。そこで社員の納得度を上げるために、運用ツールのリニューアルをお勧めしています。
また評価の基準を半期からマンスリー、ウィークリー、もしくは2~3日に1回1on1で行っている会社も増えています。短期間で成果が出せるようタスクマネジメントして、フィードバックをもらって褒めることで、社員の皆さんを孤立させないように配慮している面もあるのではないでしょうか。社員の皆さんとのコミュニケーションの総量を上げるということは絶対やっていただきたいですね。

Q6. 組織に対する求心力を醸成するために認識されていること、工夫されていることがあれば教えてください。

服部:
私も会社に対する所属意識が希薄になることについて課題感を抱えていました。そこで考えたのが、これまでやってきたことをオンラインになっても続けることと、オンラインだからこそ可能なコンテンツへのアプローチです。
当社では、これまでミッションや全社の情報を発信する機会として、毎週全社員を対象とする朝会を行ってきました。これは当社の文化なのでオンラインでもやり続けています。またWebページでの社内報、「マネ報」も継続的に発行しています。

服部:
私も会社に対する所属意識が希薄になることについて課題感を抱えていました。そこで考えたのが、これまでやってきたことをオンラインになっても続けることと、オンラインだからこそ可能なコンテンツへのアプローチです。
当社では、これまでミッションや全社の情報を発信する機会として、毎週全社員を対象とする朝会を行ってきました。これは当社の文化なのでオンラインでもやり続けています。またWebページでの社内報、「マネ報」も継続的に発行しています。

服部:
私も会社に対する所属意識が希薄になることについて課題感を抱えていました。そこで考えたのが、これまでやってきたことをオンラインになっても続けることと、オンラインだからこそ可能なコンテンツへのアプローチです。
当社では、これまでミッションや全社の情報を発信する機会として、毎週全社員を対象とする朝会を行ってきました。これは当社の文化なのでオンラインでもやり続けています。またWebページでの社内報、「マネ報」も継続的に発行しています。

最近始めたことでは、この社内報のスピンオフ企画で、「オープンドア」としてCEOとCTOといった経営陣が1時間、社員からの質問に答えたり、他にも取締役の瀧がお昼に社内からゲストを呼んで話をするというラジオのような番組を定期的に配信しています。ものづくりの会社なので、失敗を恐れるより、まずやってみて良ければ取り入れていこう、そんな気持ちでやっています。

Q7. 難局の中で、踏ん張らなければいけないシーンが増えています。人事のメンバーに対し、服部さんから出されているメッセージがあれば教えていただけますか。

服部:
3つの方針ですね。そのうち2つは繰り返しになりますが、「落ち着いたら」を止め、すべてに対し柔軟に対応するということ。2つ目が「コロナは心理的事象」であると捉え、社員の心に寄り添うこと。そして3つ目は「マイナスがあればプラスがある」ということですね。
オンラインになったことにより、採用も研修もリモートワークにも、マイナスとプラス両方の側面があります。その際マイナスだけでなく、プラスも見るべきで、最大限に活かすことをやろうとは特に言っています。

加えて伝えているのはメンバーに対しての「お疲れさま」という気持ちですね。突然のコロナ禍において、できていないことが多いとか、在宅で業務の生産性が上がっているのかどうかとか、人事のメンバーも悩むことが多いと思うんですよ。でも100年に1度というこの状況で、年間で最も繁忙期と言える4月を無事に乗り越えたことを自信や誇りにしてほしいなと思いますし、その上で、前向きに5月、6月と、さらに良くしていこうと思ってもらえばと思っています。

Q8. やるべきことが多く悩んでいます。優先順位をどのように考えればよいでしょうか。

服部:
一番大事なのは、経営と握ることだと思います。経営陣のやっていることや発言と人事の施策や制度がリンクしなければ、会社としての一貫性がなくなってしまいます。だから人事としては、経営がやろうとしていることにリンクする。経営者や事業責任者と一枚岩であること。これが大事だと思います。

堀尾:
同感です。経営としっかりと握る、認識を合わせることが大事です。オンラインでは社員がすべてにおいて社長の背中を見ることができない部分もあると思います。その代弁者として人事の方が行動をぶらさないことが必要だと思います。
今日の服部さんのお話は、小さな企業さんでもできる施策ばかりです。マネーフォワードさんだからできるのだと考えずに、今すぐ取り入れてほしいですね。

最後にお2人から人事の皆さんにメッセージをお願いします。

服部:
繰り返しになりますが100年に1度という現在の状況は、人事で関わる皆様にとってすごくハードな環境だと思います。ですから、まずは目の前の仕事をしっかりやっていることに自信と誇りを持ち、その上で次に良くなるやり方を考えていければいいのかなと思います。こういう時だからこそ、会社の垣根を越えてみんなで助け合っていければと思います。

堀尾:
人事の方は毎日大変だと思います。でもこうした状況だからこそ、社員にやさしい気持ちで接することができるよう、一人で考えず、できないことはできないと声をあげることも人事として必要なのではないでしょうか。必ず誰かがサポートしてくれるはずです。何かあれば服部さんや僕に遠慮なくご連絡いただき、一緒に乗り越えられたらと思います。共に力を合わせて前進していきましょう。

本記事は株式会社ZENKIGEN主催の「コロナ危機における人事課題の相談所」ライブ配信
株式会社マネーフォワード 執行役員 人事本部長の服部穂住氏に聞く「コロナ危機における人事課題」の実情【第7回目】(後半)
https://harutaka.jp/column/株式会社マネーフォワード-執行役員-人事本部長-2
からの転載となっております。

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執筆者

堀尾 司

CANTERA責任者 兼 講師
(株)All Personal代表取締役CEO 1973年北海道生まれ。1994年(株)リクルート入社。2004年ソフトバンクBB(株)入社。ソフトバンク通信事業3社を兼任し、営業・技術統括の組織人事責任者に従事。2012年グリー(株)入社。国内の人事戦略、人事制度、福利厚生、人材開発の責任者を歴任。2014年より東京東信用金庫に入庫し地域活性化に従事。
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