面接力を上げる、これからの面接官研修とは

最終更新日:2020/07/30

こんにちは。CANTERA ACADEMY3期卒業、能登隆太です。
採用、それはあらゆる企業が重視する、これからの企業の歴史を作る未来の社員と出会うための重要なイベントではないでしょうか。

はじめに

あらゆる経営者が採用の大切さを口にします。
しかし、とても不思議なことに「採用」したいか否かを判断する面接官の重要性に言及する企業は、そう多くありません。言及はしていても、徹底的に面接官育成に力を入れている企業は稀です。

多くの場合、求める人材像の設定、そしてそういった人材が有しているであろうコンピテンシー設定等、採用基準の明確化に注力します。もちろんこれらが非常に重要なことであることに変わりなく、採用戦略の中核と言えると思います。

一方、あなたの会社では設定した選考基準通りに、面接官が応募者を見極めることができていますでしょうか?また、そもそもあなたの会社にとって面接とはどのような役割を担っていますか?

面接の場は自社に必要な人材を見極める場でしょうか。それとも自社のビジョンに共感してもらい、自社に魅力を感じてもらうための場でしょうか。

今の時代、働き方は多様化し、入社に向けたプロセスもそれに合わせて様々になっています。もはや面接は企業が「選ぶ」、応募者が「選ばれる」立場ではありません。もし面接官が横柄な態度で応募者に接すれば、たちまちSNS上で拡散され、企業のレピュテーションリスクに繋がることでしょう。

会社毎に文化は違えど、世の中全般として企業と社員・応募者の関係性が明らかにフラットになりつつある今、改めて問いたいと思います。

あなたの会社では面接をどのような場と捉えているでしょうか。

面接官は会社の姿鏡である

まずは自社において面接がどのような役割をになっているのか、明確にします。それによって、面接の目的が変わるからです。

選考基準に見合った人材を見極める場なのか、カルチャーフィットを確認する場なのかによって面接の進め方も変わりますよね。

ただ、いずれのケースにおいても面接官は会社を代表する「顔」として応募者に接することになります。応募者からすれば面接官があなたの会社を印象付ける、最も大きな要素になるかもしれません。

かつ、得てして面接は人事や経営者の見えないところで行われます。つまり面接がどのような流れで進み、どのような雰囲気だったのかはブラックボックス化しており、誰にもわかりません。

人事や経営者が面接の実態を把握できるのは、応募者に対する面接アンケートや内定者へのヒアリングの時くらいでしょうか。

それくらい、私たち人事は面接がどのように進んでいるのかを把握できていない可能性があります。にも関わらず、面接官が応募者に与える影響は甚大。

このギャップを埋めるためには面接官を育成する必要があると思っています。そして、それを実現するための手法としての面接官研修があるのだと思います。

これからの面接官研修とは

そもそも、あなたの会社では面接官研修を実施しているでしょうか?

まず、面接官は人事ではなく、社内で活躍する現場のエース級の社員に担当してもらうケースが多いようです。自社のエース人材が「ぜひ自社に来て欲しい」と思う人であれば、その応募者も優秀に違いない、という前提があるからです。

ですが、例えば営業成績等で現場で結果を残しているエース人材は、人を見る目もエース級なのでしょうか。

「人を見る」にはとても高度なスキルと経験を要します。例えばあなたが、「この人、苦手だな〜」と思う性格の応募者と面接するとします。一方でこの応募者は選考基準を満たしている。この時、あなたは自分の中にあるバイアスを予め理解した上で、冷静に応募者と相対できるでしょうか? つい自分の先入観に基づいてネガティブな評価をしてしまいませんでしょうか?

結論、人間であれば誰しも先入観に引っ張られる部分はあるでしょう。それが0になることはありえないと思いますし、だからこそ、複数回違う面接官が面接する仕組みになっています。

ですが、もし仮に自分のバイアスを極限まで抑え、面接の場をより良いものにすることに集中することができるとしたら、より応募者の魅力を掘り下げられるようになるとしたら、あなたの会社の採用はどう変わるでしょうか。

新型コロナウイルス感染拡大の影響もありオンラインでの面接機会が圧倒的に増えた今、これからの時代に求められる面接官研修には主に2つ「認知」が必要だと考えています。

1.どのようなバイアスを持っているかの認知
面接官が自分の中にどのような無意識のバイアス(アンコンシャスバイアス)を持っているかを認識します。言い換えれば、どのような人に対してどのような対応をする傾向があるか、ということです。

例えば、体育会学生に対して「どうせ勉強なんて全くしていないだろ」「体育会学生は全員元気で声も大きくハキハキしている」と思い込んでいるケースです。
私は大学まで野球部に所属していたこともあり、今も大学野球部の現役選手ともたまに交流があります。今は私が現役だった頃とは思想も文化も大きく変わっており、それに合わせて「体育会学生像」も変わりつつあります。
このような世の中の変化を知らず、自身の経験だけで物事を見ていることがないか、先入観がないかを面接官自身が認識することで、よりフラットに応募者と相対することができるようになります。

では、どのようにしてバイアスを可視化できるのでしょうか。一例として、これまでの面接データを活用し、応募者の属性と面接官がつけた評価を分析、属性毎に分析結果の有意な偏りがあれば、面接官がバイアスに左右されている可能性があります。その結果を基に面接官と対話を行うことで、その面接官がどのような「捉え方」をしているかを炙り出すことができます。

または、それぞれの属性の応募者をケースとしていくつか用意し、面接官に提示、どのような人だと予想してもらうことで無意識にどのようなイメージを持っているかを表層化することも可能です。

まとめますと、自分がどのようなメガネで世界を見ているかを面接官に把握してもらうことで、応募者との会話の中で「あ、今自分はあのメガネでこの人を見ていたな」と客観的に感じることができます。認知することで面接結果のブレを抑える仕組みです。

2.相手の話をどのように聞いているかの認知

多くの企業で盲点となっている一方、実は最も応募者に大きな影響を与えうると言っても過言ではないのが面接官の話の「聞き方」です。

応募者は面接官のリアクションに敏感です。例えばあなたが応募者だとして、一切顔を見ず、エントリーシートや履歴書だけを見ながら話す面接官に対して好意的な印象を持ちますか? その会社に入りたいと思えますか?

ただ単に応募者の話を音として「聞く」のではなく、心から関心を持って「聴く」ことができているでしょうか?

「聴く力」はスキルです。人は1分間に150ワード話せるのに対し、600ワードも聞ける、という研究結果もあるそうです。つまり、聞き手の方に余裕があるということです。

ついついタイピングしながら、スマホを見ながら相手の話を聞いている瞬間はありませんか? 聞く方は話し手よりも余裕があるため、他のことをしながらでも相手の話を「聞く」ことができます。

ですが話し手からすると「この人、私の話聞いてるんだろうか?」と思いますよね。

面接でこんな風に思われた時点で志望度は確実に下がります。

オンライン面接が主流になりつつある今、「オンライン面接に慣れてなくて・・・」は言い訳になりません。応募者からすればその面接に人生をかけている可能性だってあります。

では「聴く力」を磨くためにどんなことができるでしょうか。具体例として、オンラインでの模擬面接の様子を録画し、面接官に共有します。そして、自分が応募者の話をどのように聞いているか、自分が応募者だったらどう感じるかをチェックシートに基づき採点してもらいます。

そして、どのような「聴き方」が理想的かを人事と対話し、改善ポイントを洗い出します。

今は様々な動画面接サービスが急成長しており、面接動画の振り返りのみならず、面接データを分析することで面接官が応募者を引きつけることができていたか、互いにリラックスできていたかまで把握することができます。

もちろん、各社ともにそれを採用の合否に紐づけることはしておらず、あくまで面接体験の向上のために利用しています。

このようなサービスを活用することで、面接官自身が「あ、こういうキーワードを使うと響かないんだ」「こんな問いかけをした方が応募者がリラックスしてくれるんだな」と多くの気づきを得ることができ、面接の質も大幅に向上します。

面接は最高のブランディングの場である

ここまで面接の重要性や具体的な面接官研修の内容について記載してきました。私は面接の場こそ、最高の企業ブランディングの場であると思っています。オウンドメディアやセミナー等、様々なチャネルによって自社ブランディングが可能となりました。

ですがどこまで言っても私たちは人間であることに変わりありません。オンライン/オフライン関わらず、直接的な人との関わりに一喜一憂する生き物です。

採用を恋愛に例える方も多いですが、もし面接官の質が上がり、面接体験が高まったとしたら、応募者の感じ方や自社に対する見方も大きく変わるのではないでしょうか。

加えて、面接の質が高まれば、面接官が現場に戻った時に1on1や組織マネジメントにも応用できるかもしれません。

「どう見極めるか」ではなく、あえて「どう見られているか」にフォーカスする。そんな時代がもうそこまで来ています。

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執筆者

能登隆太

CANTERA3期卒業生
新卒で伊藤忠商事に入社。入社後は人事・総務部配属となり、新卒採用・海外人事(駐在員処遇、出向対応、現地生活調査等)に従事。2018/7にHR Tech、データ活用組織を立ち上げ、その後全社研修企画も兼務。2019/7より全社で新設された「第8カンパニー」の人事担当を務める。
FB@ryuta.noto

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