ニューノーマル時代には、エンゲージメントが企業の成長を左右する

Writing by:佃雄太郎

こんにちは。CANTERA ACADEMY6期卒業、佃雄太郎です。コロナ禍により、世間ではニューノーマル=新しい常態の時代を迎えています。以前のように混みはじめた通勤電車や出社日数の増加など、徐々に元の姿に戻ってきつつありますが、テレワークをはじめとした新たな働き方が普及するのは間違いありません。物理的に離れたところで働く従業員のエンゲージメントをどう向上させるか? それが、今後の企業存続を左右すると言っても過言ではないでしょう。

組織を成長させる原動力、“エンゲージメント”とは

まずは、エンゲージメントについて少し説明します。

エンゲージメントは、

「組織に対する“愛着心”や“思い入れ”」という意味合いで使われています。もう少し補足すると、「チームのメンバーが、組織の方向性を理解したうえで、自らが意欲的に仕事に取り組み、仲間や組織に深く思い入れを持つこと」です。

あるデータでは、こんな結果が出ています。

・エンゲージメントが高い従業員は、離職しにくい

・エンゲージメントが高い組織は、利益率が高い

つまり、エンゲージメントの高い企業は、「個人と組織が一体となって、双方の成長に貢献しあう関係づくり」ができているのです。

近年では、多くの企業がエンゲージメント向上に取り組んでいます。
しかし難しいのは、「エンゲージメントを測るための決まった数値や算式がない」ということです。会計であれば、P/L(損益計算書)やB/S(貸借対照表)などの簿記という共通のルールがあり、決まった数値や算式があります。
ただし、エンゲージメントは企業がそれぞれ独自にスコア化しているため、数値を測る共通のルールはありません。

さらに、エンゲージメントを構成する要素は、会社の方針への共感や仕事のやりがい、納得できる人事評価制度、柔軟な働き方、福利厚生、従業員同士や上司との円滑なコミュニケーションなど多岐にわたります。そのため、エンゲージメントが低い組織やチーム、従業員への対応策もひとつではありません。さまざまな施策を組み合わせ、模索しながら取り組む必要があるのです。

テレワークは、エンゲージメントを低下させる?

本来、テレワークなどの新たな働き方は、エンゲージメントを高める施策のひとつとして導入されていました。
しかし今、その働き方がエンゲージメントを低下させると懸念されています。その原因は、コミュニケーションの量と頻度にあります。

とても興味深いデータが2つありました。

1つ目は、在宅勤務によって生産性が低下した要因の1位が「同僚・取引先とのコニュニケーションが取りづらい」だったというもの。これは、2020年4月に実施されたロバート・ウォルターズ・ジャパン株式会社によるアンケート調査で出た結果です。回答者の63%が要因としてあげています。

2つ目は、テレワークが長期化したら深刻化すると思う課題ランキング1位が、管理職、一般社員ともに「コミュニケーションの取りづらさ」だということ。こちらは、2020年4月に実施されたUnipos株式会社による調査結果です。

各企業は、新しい働き方を取り入れると同時に

・メールやチャットによる報連相

・オンラインでの会議、朝礼、飲み会

・クラウドでのタスク管理や勤怠管理

などのシステム導入を積極的に行っています。

当然ですがこれらのシステムは、テレワークであってもスムーズにコミュニケーションや業務管理ができるようにするためのものです。もちろん、こういった仕組みによって連絡をとりやすくなった方もいるでしょう。しかし、デジタル上では、表情などから体調や気分を察し、すぐに声をかけることができません。そのため、これまで通りのコミュニケーションをとるのが難しいと感じる方も多いのです。

「対面なら1〜2分程度で済むような相談も、メールやチャットだと聞きづらい」「オンライン会議だと、積極的に発言できないメンバーの様子がわかりにくい」といった経験は、多くの人がしているのではないでしょうか。

先ほどの2つのデータが示すように、従業員は新たな働き方によって、コミュニケーションの取りづらさという課題に直面しています。ここを改善しなければ、エンゲージメント向上の対策を打っても、効果は薄くなってしまいます。

新たな働き方で、どのようにしてエンゲージメントを向上させるのか?

先述した通り、エンゲージメントは、これをやれば必ず向上するという対策はありません。

ですが、絶対に必要なことが1つあります。それは、「お互いの状況を知り、理解すること」。

「なんだ、当たり前だよ」と思われるかもしれません。しかし、ニューノーマル時代ではとても重要な取り組みです。

たとえば、オンラインによる朝礼や夕礼。これは、弊社でも取り組んでいて、ぜひおすすめしたい施策です。その日にどんな業務を行う予定なのか、進捗はどうか、困っていることはないかなどを報告し合うことで、それぞれの状況を理解することができます。オンラインだとどうしても事務的になってしまうという場合は、意識的に雑談の時間を設けるのも良いでしょう。私のチームでも、「一人で仕事をしていると息抜きのタイミングがないので、気分転換になって良い」と好評です。

ただ、コロナウイルスの影響で子どもが時差登校をしていたりすると、朝礼や夕礼の時間は家庭のことで忙しく、仕事に集中できないという相談もありました。せっかくの有効な施策も、メンバーの状況を知らないと逆効果になります。このような場合は、議事録やオンライン会議システムの録画機能を使って内容を共有するなど、対策はいくらでも考えられます。もちろん、自分だけ朝礼や夕礼に参加できないことがストレスになる可能性もありますから、上司が個別にフォローすることも必要です。

時間を柔軟に使うことができ、オフィスより集中して業務を進められるテレワークは、エンゲージメント向上に大きな効果を発揮します。そのためには、業務をスムーズに進めるための土台となるコミュニケーションの仕組みをつくること。

まずはお互いの状況を知り、理解することから始めるのが重要で、そこができていないと、施策を打ったところで効果は発揮できません。また、この「お互い」というのは、上司と部下はもちろんのこと、同僚同士、そして会社と従業員のことも含みます。

離れた場所にいても、会社の方針を従業員としっかり共有できているでしょうか? 上司は部下の悩みや課題をこれまで通りに把握し、適切なフィードバックができているでしょうか? 他部署やほかの従業員とのコミュケーションが減り、孤立している部署や従業員はいませんか? 

それぞれのことを理解し、知ることができる会社創りから始めてみましょう。

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執筆者

佃雄太郎

CANTERA6期卒業生。
アウトソーシング事業部部長兼HRコンサルティング事業部部長。 経理や給与のアウトソーシング事業の全体責任者として350社のバックオフィス業務をサポート。 バックオフィス業務の一環で人材育成の情報収集のために、ATDをはじめとしたHRテクノロジーの海外視察を行ってきた。
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