Withコロナ時代に問われる人事の本質

最終更新日:2020/09/01

Writing by:長谷川貴久

コロナウイルスが問題となりはや半年以上が経過しました。
問題発生当初は「遅くとも梅雨時期には落ち着くのではないか」「数ヵ月もすれば普段の生活に戻るよ、きっと」といった割と楽観的な意見も多々あるように感じていましたが、半年を経ても解決の目途は立っていないどころか、「Withコロナ」「新しい生活様式」といったパラダイムが変わってしまうといった論調が主になっていることはご承知の通りです。

コロナ禍の人事課題

コロナウイルス発生後、仕事のやり方や進め方を変えざるを得ない状況となりました。

CANTERA NOTEをご覧の多くは人事を担当されている方だと思いますが、人事業務もこれまでのオペレーションとは大きく異なる対応を強いられていることは言うまでもありませんし、そのご対応に苦心されていることと思います。 

また、そのご苦労の結果として、様々な課題が表面化しているのではないでしょうか。

コロナ以降に人事の方とお話をしていると、以下のような声を多く聞きます。

・在宅勤務やオンライン化で上司から部下の業務管理ができなくなって困っているという相談が増えた。

・評価制度が機能しない。在宅勤務が進み仕事ぶりが見えないため正確な評価が出来ず、会社と従業員が納得する運用が出来なくなってしまった。

・実技やディスカッションが中心のため研修を実施することができない。また、オンラインの研修は相手の熱量や理解度、微妙なニュアンスが伝わりづらく、効果が期待し辛い。

・雑談や世間話などのフランクなコミュニケーションが減ったため、組織の一体感を醸成しづらくなっている。特に、新メンバーと距離感を感じることが多い。

お読みいただいても頷かれている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

確かに、これまでのように皆がオフィスに出社している状態であれば自然と出来ていたことでも、コロナ対策に伴う在宅勤務やオンライン化によって出来なくなったことも多々あることでしょう。

また、WEBミーティングやチャットなどのツールを活用してコミュニケーションを補完されている会社も多いことと思いますが、それらを駆使したとしてもすべてのコミュニケーションを完全に補完しきれていないのが現状ではないでしょうか。

そのため、仕事のなかでも特にコミュニケーションが占める割合が多いもの、特に人事に関することは様々な課題が表面化しているのではないかと思っています。

気づいていなかった課題が表面化した

では、こうしたコロナ禍で表面化した課題をどうすれば解決できるのか。日頃の業務に追われるなかでは、ウェビナーや人事向けの情報を収集し、その課題解決のための取り組みを検討される方も多いのではないでしょうか。

CANTERA NOTEもそのお役に立てていると幸いです。)

他社の好事例を知ることは非常に有意義です。

様々な話を聞くことで新たなアイデアも沸いてくることでしょう。 

加えて、“「コロナのせい」と決めつけず課題の本質をもう少し考えてみてはいかがでしょうか”ということを今回はお伝えしたいと思います。

 なぜこのようなことをお伝えするかというと、コロナ以降に人事仲間から相談を受けた際に決まって同じようなやりとりがあったからです。例えば評価制度についての相談ですと、 

「コロナ対応で在宅勤務になったから、管理職から部下の評価が出来ないという声が多くあがってくるんだよね。何か良い方法はないかな?」

『管理職の方はなぜ評価が出来ないと言っているのですか?』

「在宅勤務で部下の仕事ぶりが見えないので、評価が出来ないと言っているんだ。」

『そうですか。でも、在宅勤務前でも管理職は全ての仕事ぶりを常に見れていたわけではないですよね?程度の問題はあれ同じ環境で評価をしていたのだから、在宅勤務でも出来るんじゃないのでしょうか。そもそも、コロナ前は評価制度が“本当にうまく機能している”と感じていましたか?』

「確かにコロナ前でも評価制度やその運用は万全ではないと感じていた。コロナでそれが表面化しただけかもしれないな。」 

といったやりとりです。

課題の内容がその他の場合でも同じ結論となる場合が多かったのですが、「コロナ前からうまく運用できていたわけではないが、コロナ禍でその課題が表面化したため気付かされた」という感覚はお持ちになっている方がとても多いように感じています。

Withコロナ時代の人事はより本質が問われていく

そのため、手段を考える前に課題の問題の本質を考えてみてはどうでしょうか、ということをお伝えしたいと思います。

問題の本質はその会社によって異なりますが、会社のビジョン/ミッション/バリューに立ち返り自分たちのありたい姿を再確認すれば、おのずと自社にとっての課題が明確になり、やるべきことが思い浮かんでくるはずです。

この状況は人事業務をアップデートする千載一遇のチャンスなのかもしれません。

幸いにもコロナ禍のため従来のやり方で出来ずチャレンジすることが必須ですので、トライ&エラーを繰り返しやすい環境にあります。 「コロナのせいで」と思考停止せず、その一歩先まで思いを巡らせると開ける道もあるのではないでしょうか。

とはいえ、一人で自問自答していると、考えが煮詰まってしまうこともありますよね。

そのためにも、社内外で相談できる協力者は非常に強い味方になりますし、気付きを与えてくれる大切な存在になりますので、ぜひ協力者を増やしていただければと思います。

この大変な局面を皆で協力し乗り切って、人事の本気で社会を熱くしていきたいですね!

なお、CANTERAでは共に学び成長するコミュニティ「CANTERA PORT」や現役人事の知見をスポットで活用できる「CANTERASHARE」といった活動も行っておりますので、ご興味があればお気軽にお問合せください。

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執筆者

長谷川貴久

CANTERA1期卒業生。
CANTERA卒業生の有志勉強会である「CANTERA放課後倶楽部」の企画・運営に携わる。
新卒で製造業に入社。営業、人事等を歴任。人事歴は10年超で、人事・給与設計から採用、労務等の人事業務全域を幅広く経験しています。
入社後のビジネススクールに通うなど個人のキャリア育成に関心があり。また、育児休暇を取得するなど、2児の父として家庭とキャリアの両立の”実践”にもチャレンジしています。

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