いい縁はいい奴に集まる理論

最終更新日:2020/09/10

Writing by:越前谷 匡史

前回、山登り型キャリアの呪縛の中で、「いい偶然」を呼び寄せる5つの行動について書きました。今回はもう一歩踏み込んで、いい偶然=いい縁を呼び寄せる”機会”を増やすにはどうしたらよいのかを皆さんと一緒に見ていきたいと思います。

キャリアの転機に繋がる縁はウィークタイズからもたらされる

山登り型キャリアの呪縛の中で紹介したスタンフォード大学の教育学・心理学の教授であるジョン・クランボルツの偶発性理論=プランド・ハプンスタンス・セオリー。その理論の中で、いい偶然を呼び寄せる5つのポイントを指摘しています。
1.好奇心 2.粘り強さ 3.柔軟性 4.楽観性 5.リスクテーク

山口周さんが「仕事選びのアートとサイエンス」の中で、これらの行動は「機会を拡大する」という点にフォーカスしている、と指摘しています。いい偶然を呼び寄せる5つの行動を意識し機会を拡大することで、いい偶然を呼び込む準備はできるわけですが、ではいい偶然=いい縁の機会を増やすためにはどうしたらよいのでしょうか?

クランボルツはキャリアの転機に繋がる縁は、親戚や友人等の親しい間柄ではなく、むしろそれほど親しくない関係の人からもたらされることが多い、と指摘しています。いわゆる「ウィーク・タイズ(=弱いきずな)」が大事ということです。

山口周さんは同書の中で、人との繋がりを3つに分けて、ウィーク・タイズを整理しています。人との繋がりの濃い方から
・親友ゾーン:年に何度もご飯を食べたり遊んだり本当に親しい間柄で、性格も深く理解している
・同僚ゾーン:性格はそこまで深く理解していないが、仕事ぶりや仕事のスタンスを理解している
・知人ゾーン:名刺上の情報や結婚しているか程度の表面的な情報しか持っていない

の3つとなりますが、ウィークタイズは同僚ゾーンにあたります。同僚ゾーンの人たちは、あなたの現職の部署はもちろん、それまで所属した部署やチームもそうです。また、副業をしているチームの方、NPOでの活動なども含めて、あなたの仕事ぶりや、仕事の向き合い方を知っている方を含みます。同僚ゾーンの人たちはあなたの仕事ぶりを知っているからこそ、あなたが信用できる人なのかどうかを理解しているので、何かあった時に、あなたに声をかけてみよう!となるわけです。

親友ゾーンはあまりに親しいため、同じ趣味志向になりがちで、思いがけない縁をあなたに持ち込まないでしょうし、一方の知人ゾーンは表面的な情報だけで、そもそもあなたに声がけしてこないでしょう。

「いい奴でいく」戦略が強い!

同僚ゾーンを大事にすることで、いい縁の機会が増えそうなわけですが、では同僚ゾーンを大事にするとは、もう少し噛み砕くとどういうことなのでしょうか?

ここでも山口周さんが喝破していますが、「何でもない毎日をていねいに生きる」ということです。私はこの言葉から、丁寧、誠実、真摯、一生懸命、正直、そんな言葉を思い起こしました。みなさんはどうでしょうか?

「何でもない毎日をていねいに生きる」を少し強引に一言でいうと、「いい奴でいく」ということです。実は「いい奴でいく」という生き方がゲーム理論において、強力な戦略であることがわかっています。「いい奴でいく」戦略が具体的にどのようなものかを見ていきましょう。

ロバート・アクセルロッドの著作「つきあい方の科学」では、「いい奴でいく」戦略が強力であることを説明しています。アクセルロッドは繰り返し囚人ジレンマというゲームを行います。ゲームに参加するプレイヤーはそれぞれ「協調」と「裏切り」のカードを持ち、合図と同時にカードを見せ合います。二人とも裏切る場合、二人とも1万円の賞金を得る。もし二人とも協調すれば、二人とも3万円の賞金を得る。もし、一方が裏切り、他方が協調すれば、裏切った側に5万円の賞金が与えられ、協調した側は何も与えられません。

このゲームで、アクセルロッドはコンピュータ同士で戦わせて、どのようなプログラムが最も得られる金額が高いかをコンテストで競わせました。コンテストには心理学、社会学、経済学、政治学などの分野の専門家が参加しました。その結果、優勝したのは、初回は「協調」を出し、2回目以降は前回の相手と同じものを出し、以下それをひたすら繰り返す、というプログラムでした。

このプログラムは、初回は必ず協調で、自分から絶対に裏切りません。もし、相手が裏切りのカードを出した場合は、次はこちらも裏切りカードを出して報復します。また、協調にもどれば、こちらも協調に戻ります。

つまり、自身の基本スタンスは協調であり、その後も協調であるものの、相手が裏切れば毅然と報復し、相手が協調に戻れば寛容なスタンスで協調に戻るというものです。まさに「いい奴でいく」作戦です。

この結果が示唆するものは何でしょうか?「いい奴でいく」作戦は、自分の仕事を丁寧、誠実、真摯、一生懸命、正直に行い、仲間を信頼しながら結果を追い求めることだろうと私は捉えています。これを日々行うことで、信用を積み上げていく。この信用の積み上げが、どこかのタイミングで、同僚ゾーンの方からあなた「いい縁」が持ち込まれるということなんだろうと思います。

クランボルツが言う5つのポイントを意識し、そして、何でもない毎日をていねいに生きることが、何かに繋がっていくことを信じて、前に進んでいきたいですね。

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執筆者

越前谷 匡史

CANTERA 4期生。
1995年に株式会社リクルートに入社し、新卒採用チームに配属される。新卒採用の経験は通算で5年。その後、人材紹介事業を10年以上経験。紹介事業では第二新卒を支援するグループの立ち上げから組織拡大を牽引。
2015年末に退社し、株式会社キャリアベースを設立し、新卒採用領域でビジネスを展開。
2018年5月会社売却後、9月にAll Personalに入社。FFS診断を活用した紹介事業やCANTERA事業を担当している。

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