強い組織や採用育成につながる「モチベーション・マネジメント」

最終更新日:2020/09/17

Writing by:酒匂光晴

さて、突然ですが質問です。
「あなたは自分の部下や身近な同僚がなぜ自社で働いているか、何に興味関心があるのか、それぞれの人のことをどこまで理解していますか?」

従業員ひとりひとりの「モチベーション」をどれだけ理解しているか

先ほどの質問に対し、明確に答えられる方は非常に洞察に優れ、また相手を理解する能力にたけた方でしょう。ただしほとんどの場合はすぐに思い浮かばない方が多いのではないでしょうか。

先日の記事「これからの中小企業に必要な3つの組織マネジメント手法」にて紹介した3つ目のマネジメント手法が「モチベーション・マネジメント」です。

モチベーションとは意味としては「動機」「意欲」であり、従業員は必ずこのモチベーションも持っています。モチベーションが適切に作動すると人は信じられないぐらいの能力や集中力を発揮し、生産性が非常に高まると言われています。みなさんもこれまでに、得意でなくとも非常にやる気や情熱をもって取り組んで成果を出した仕事の経験や、得意なことであってもやる気にならず、そこそこの成果しか出せなかった仕事の経験はあるのではないでしょうか。

しかしモチベーションは一見すると表面には見えにくい場合が多く、もっと言えばそれぞれ多様で全く異なります。それにもかかわらず、経営者や役員・部長・人事が「良い」と思った基準で施策を実施してしまい、従業員ひとりひとりのモチベーションが適切に作動しない環境を会社自体が提供してしまっている場合もあります。

そのため、人事はもちろん経営者をはじめとするマネジメント層はこの従業員のモチベーションの「源泉」を理解し、適切にマネジメントを行い、経営の「成果」を高めていくことが求められるのです。

多様な働く動機を知るための「働く目的12のアングル」

そもそも、人が働いているには必ず理由があります。そしてその理由は人によって異なります。人は生きているだけで多様な存在なのです。

リクルートワークス研究所「働く目的12のアングル」を参考にすれば、人は自己実現に向かって、①権力志向②生活志向③個人志向④愛情志向⑤追及志向という大きく5つの思考があり、さらに細かく12の目的に分かれます。

何かがいいとか悪いとかいう話ではなく、人は何に動機を感じるかは人それぞれであるため、まずは従業員それぞれのモチベーションの源泉を理解することによって、会社としてどんな施策を打つかが決まってくるということです。

働く動機を知り、採用・育成・組織づくりに活かす

人事としてやるべきことは、従業員の人間性や働く動機を本質的に把握し、その情報をもとに社内制度や採用・育成手法の変更、ダイバーシティやエンゲージメントの向上などに活用していくことです。

例えば採用に活かす一例として挙げるならば、上記の12のアングルをもとに、社内でモチベーションのアンケートをとります。もちろん結果は年代別、階層別、部署別、入社動機別などあらゆる角度から検証できるように切り分けます。それをもとに自社の従業員のモチベーションの特徴や、人的タイプを割り出し、採用ターゲットを再設定します。合わせて競合との比較の中で自社の強みやらしさを抽出し、差別化ポイントをメッセージ化して採用活動に活用していくことでブランディングにも応用していくことが可能です。

ひとつの例ではありましたが、このようにモチベーションを把握することによって自社の採用・育成組織づくりに大いに生かしていくことが可能になります。またこれまでの記事にある通り、
1)ダイバーシティ・マネジメント
2)エンゲージメント・マネジメント
3)モチベーション・マネジメント

これらは全てリンクしており、これからの時代の変化に対応していく組織づくりにおいて最低限取り組むべきマネジメント手法です。

人事が対応すべき領域は幅広く、また終わりがないため、どこから手を付けてよいかと悩む人事の方は多いと思いますが、今回の記事が皆様の何かのヒントとなりお役に立てれば幸いです。

私が講師として参加しております、「CANTERA ACADEMY」最新のイベントはこの文をクリック。是非ご覧ください!

おすすめ記事

エンゲージメントって本当に大事なんですか?

こんにちは。CANTERA ACADEMY4期生の平山です。今回はエンゲージメントについて最近思うことを書きたいと思います。
マネジメントやHRに関わる方で「エンゲージメントは大事」ということに異論を唱える方は多くないと思います。
しかしながら、私自身は最近のこの風潮(というかブーム)に違和感を覚えることが多くなってきました。
人事という立場で長く仕事をしてきた中で私の心が荒んでしまったのか、それとも、本質的ではない何かがそこにあるのか、そんな視点で改めて「エンゲージメント」について考えてみました。

ニューノーマル時代には、エンゲージメントが企業の成長を左右する

こんにちは。CANTERA ACADEMY6期卒業、佃雄太郎です。コロナ禍により、世間ではニューノーマル=新しい常態の時代を迎えています。以前のように混みはじめた通勤電車や出社日数の増加など、徐々に元の姿に戻ってきつつありますが、テレワークをはじめとした新たな働き方が普及するのは間違いありません。物理的に離れたところで働く従業員のエンゲージメントをどう向上させるか? それが、今後の企業存続を左右すると言っても過言ではないでしょう。

【CANTERA talk】アースメディア代表松本淳さんに聞く「今の人事に求められる「人間性」という1つの大切なスキル」

CANTERA NOTEでは、人事領域で活躍される著名人をお招きし、人事パーソンの学びとなるお話をうかがいます。

今回お招きしたのは、一般社団法人アースメディア代表の松本淳さんです。松本さんは、インテリジェンスの創業拡大期に入社後、人材系の会社を起業、拡大後にM&Aで事業譲渡し、現在は国内外の起業家育成に力を注いでいます。また、松本さんのTwitterはビジネスパーソンから人気を集めており、読者のなかには松本さんのTwitterから学びを得ているという人もいるかもしれません。

そんな松本さんに、今の人事に求められる能力や戦略人事リーダーに求める経験やスキル、松本さんが理想とする人事パーソンについてお話をうかがいました。

【CANTERA修了生✕堀尾司】 社会人15年目・HR1年目の水越裕太郎さんが目指すCHROへの道

CANTERAでは、人事領域で活躍している人はもちろんのこと、人事未経験の人も多く学んでいます。 CANTERAアカデミー修了生の水越裕太郎さんもそのひとりです。水越さんはマーケターからHR領域へと半年前に転向し、CHROを目指しています。

今回はCANTERA代表である堀尾と水越さんが対談。水越さんがCHROを目指したきっかけや理想のCHROになるための経験の積み方、水越さん自身が掲げるミッション・ビジョン・バリューや3600人のフォロワーを抱えるTwitterとの向き合い方など、とことんお話をうかがいました。

さくらインターネットの人事ポリシーと私のマネジメント

「社員を信じる」マネジメントの役割は、メンバーの強みを引き出し、自己肯定感をあげ、幸せにすることなのではないでしょうか。そう考えれば、マネジメントは喜びに満ち溢れた仕事になります。

ジョブ型人事制度 4つのメリットと2つの留意点

こんにちは。CANTERA ACADEMY1期卒業、上田明良です。昨今、日本型雇用の制度疲弊に伴う見直しの必要性が叫ばれるようになった中、アフターコロナを見据えた働き方の変化が拍車をかけるように、企業への貢献を明確にした人事制度としてジョブ型人事制度(ジョブ型雇用)を志向する企業が増えてきているように思います。ただ、一概にジョブ型といっても、企業が営む事業の性質、組織ステージ(創造性・指揮・委譲・調整・協働など)によってマッチ度は変わってきます。そのような環境下において本稿では、ジョブ型人事制度について導入を検討している、導入するまでもいかないが選択肢の一つとして知っておきたい、将来に向けて純粋に興味があるとった方々に向けて、よりよい選択をする為の一助となればという思いを込めて、基本的な考え方からメリット・デメリット、設計・運用時の留意点につい紹介していきたいと思います。

執筆者

酒匂光晴

CANTERA ACADEMY9期卒業

カエテク株式会社 代表取締役

リクルートグループの人材領域事業にて営業、営業企画、商品企画、代理店統括などに携わり、営業マネジメント、事業マネジメントを経験。その後独立し、人事・営業専門のコンサルタントとして活動しながら、数社のベンチャーの立ち上げ、営業責任者、役員を歴任。

2019年3月、「幸せを実感できる社会を創る」をミッションにカエテク株式会社を創業、代表取締役に就任。企業の存在意義をクライアントとともに捉え直し、本質的な人材採用、組織づくり、人材育成を展開。コンサルタント、講師、ファシリテーター、講演家。おもてなしNPO運営。旅行・食べ歩き・飲み会・楽しいことが好き。

基本的にアホで自由人。

不人気企業の採用を成功させるために意識すべき「隠れた意思決定者」と、事業を加速させる「リブランディング」

「毎年新卒採用に苦戦している」「良い人が採用できない」「内定を出しても断られてしまう」「ウチみたいな企業には魅力がないのでは」そのような悩みを持つ企業は少なくないのではないでしょうか。

また、知名度の少ない中小・ベンチャー企業はもちろん、残念ながらいわゆる不人気業種・職種と世間で言われてしまっている業界で、自社の事業を加速させるエンジンとなる採用活動を円滑に進めていくためにはどうしたらよいのでしょうか。

テレワーク環境下で、経営者や管理職が認識すべき環境変化とマネジメントの5つのポイント

2020年最大のニュースと言えば、新型コロナウイルスの世界的大流行、いわゆるコロナショックでしょう。

そしてこのコロナショックによってビジネスパーソンの働き方は大きく転換を迫られました。そうテレワーク(リモートワーク)です。

今回の記事では、テレワーク環境下で経営者や管理職が認識すべき環境変化と、マネジメントの5つのポイントについて述べていきます。

「採用力の公式」から自社の採用戦略を問い直す

「採用活動がうまくいかない」「年々、採用単価だけが上がっていて、採用目標に届かない」「せっかく採用した人材が、ミスマッチで早期に辞めていく」そのような悩みを持つ企業は少なくないのではないでしょうか。

自社にとってのベストな採用活動を進めていくためにはどうしたらよいのでしょうか。

強い組織や採用育成につながる「モチベーション・マネジメント」

さて、突然ですが質問です。
「あなたは自分の部下や身近な同僚がなぜ自社で働いているか、何に興味関心があるのか、それぞれの人のことをどこまで理解していますか?」

生産性が高い職場をつくるための「エンゲージメント・マネジメント」

先日の記事「これからの中小企業に必要な3つの組織マネジメント手法」にて紹介した2つ目のマネジメント手法が「エンゲージメント・マネジメント」です。
エンゲージメント自体は一昔前から認知されている言葉ではありますが、念のため確認すると意味としては「従業員の会社に対する愛着心」となります。
しかし、「エンゲージメント」については誤解が多く、よくある間違った認識としては「従業員満足度」と混同されがちです。従業員満足度とエンゲージメントはイコールではないのです。

「心理的安全性」がチームの多様性と生産性を高める

ダイバーシティ&インクルージョンを推進し、本当の意味で多様性に溢れ、創造性と生産性が高いチームにするためには、「心理的安全性」が非常に重要なキーワードとなります。
いわゆる「女性活躍」や「外国人採用」という文脈を超え、本質的なダイバーシティ推進による強い組織をつくるにはどうしたらよいのでしょうか。