リファラル採用の活用による生産性の向上②

最終更新日:2020/09/18

Writing by:上川 宙士

前回の記事ではリファラル採用のメリットについて述べてまいりました。
今回は対となるデメリットやリスクについて述べてまいります。
何のために採用をするのかという、そもそも論を意識せずに、ツールの機能のみに意識を奪われないよう注意する必要がありますね。

リファラル採用のデメリット

1.採用できるまでに時間がかかる
求人広告や人材紹介では採用までおおよそ1ヶ月ほどで完了しますが、リファラル採用では3~6ヶ月はかかると考えた方が良いでしょう。長期的な採用計画の中の一つのチャネルとして認識しておく必要があります。

2.早期の大量採用には向かない
早期に大量に採用したいのならば、他のチャネルも活用することが有効です。上記と同様ですね。

3. 活動してくれる社員に負荷がかかる
プロジェクトメンバーは1名あたり3~6ヶ月で合計30時間超の負荷がかかるとされています。やらせっぱなしではなく、負荷に応じたケアをする必要があります。投資に回すお金はその点に充当すると良いでしょう。慰労などがそれにあたりますね。

4.採用を間違えた場合にやめさせづらい
社長と会社が大切にしている思い(企業理念・ビジョン・行動指針など)に合わない社員が入社する可能性も0ではありません。
またスキルがミスマッチの可能性もあり、最低限必要なスキルは選考段階でチェックすべきでしょう。縁故採用のように一般採用フローを大幅に割愛してはならないでしょう。

5.今いる社員のレベル以上の人材が採りにくい
自分よりも優秀な人に声をかける社員は20%程と言われています。
対してGoogleやアマゾンなどでは自分より優秀な人(平均より上)を採用するという文化があります。それが成功の一因とも考えられています。そのため自分より優秀な知人を紹介するという文化を築くのも、ゴールである企業の生産性を高める為の一つの考え方です。

リファラル採用のリスク

1.不採用による社員と知人の関係悪化
応募者(知人)不採用決定は、紹介した社員への心理的負荷につながり、その後の組織運営にとってのリスクが生じます。なぜ採用に至らなかったのか関係者に理由を開示することが必要です。
一般的な「慎重に採用を検討したが、不本意ながら採用を見合わせとした」「今後ともご健勝の上、ごかつやくされますよう云々」といったようなテンプレ活用などをしてしまうと、応募者のみならず紹介した社員の離脱リスクにもつながるので対応には配慮や注意が必要です。

2.同一職場での仕事による社員と知人の関係悪化
社員と応募者(知人)間での関係が、フランクに付き合えていた関係からビジネスの関係になるので、結果上下関係が発生する可能性もあります。このリスクを避ける為に双方が別部署となる配属などが望ましいでしょう。

3.知人退職時の社員のモチベーション低下
紹介元となった社員が退職した場合、紹介されて入社した社員のモチベーションが下がることが懸念点となります。結果連鎖的に退職するというリスクも生じます。
紹介する側も向こう一年以内で退職を検討しているような場合には、その後の人間関係の為にも紹介は控えた方が良いでしょう。

4.社員紹介の報奨金欲しさで会社に合わない知人を紹介
紹介者の入社一人につき50~100万円ほど支給する会社もあるようです。エージェントに支払う金額とそれほど違わないと考えれば、太っ腹な企業だなと関心する一方、あまりに高額であると自社の文化に合わない社員を採用してしまうリスクにつながります。報酬目当てという本来の目的と異なる意図を持って活動する社員が発生してしまいます。

動機付けには報酬を前提とした外発的動機と、本人の内面から湧き出る意欲を前提とした内発的動機の大きく2パターンがあります。昨今ではより生産性を高める意味では内発的動機に焦点を当てる方が良いと考えられています。

参考:The puzzle of motivation

5.よくない派閥の形成
社長や会社を好きでない社員にまでリクルーターになってもらうと、経営理念や戦略にアグリーでない社員の派閥ができる恐れもあります。誰がリファラル採用を実践していくかという選定も意識する必要があるでしょう。

6.ノウハウが無いため、リスクを恐れて機会損失をするというリスク
経営理念が社員に良い意味で浸透し(腹落ちしている)、組織全体が嘘をつかない文化を持ち、経営者がメンバーから耳の痛い提案を聞けるのであればリファラル採用は高い確度で機能します。この状態があるのであれば躊躇する必要はありません。
逆にこれらが一つでも欠けているのであれば、リファラル採用という手法は成立しませんので、採用手法から除外すればよいでしょう。
この点については「なぜ弱さを見せあえる組織が強いのか ロバート・キーガン リサ・ラスコウ・レイヒー共著 英治出版株式会社」の発達指向型組織形成プロセスの説明も参考になるかと存じます。

前回の記事でメリットを、今回の記事でデメリットを述べてまいりました。リファラル採用の手法を使って最終的に企業の生産性向上に寄与させるためには、企業のそもそも論(企業理念・ビジョン・行動指針など)を関係者が腹落ちしていることが前提となります。

企業の生産性を上げる根本は人材の質になると考えます。企業の各機能を効果的に運用するのも人材です。その人材を迎え入れる第一歩となる採用の一機能として長期的な観点でこのリファラル採用を検討してみてはいかがでしょうか。

そしてこの手法を検討する際には是非ともそもそも論を今一度振り返られますよう、意識付けいただけましたら幸いです。

参考資料:知らない人を採ってはいけない 新しい世界基準「リファラル採用」の教科書
白潟敏朗 著
株式会社KADOKAWA

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執筆者

上川 宙士

CANTERA6期生。
オートリース⇨人材紹介⇨イベント運営⇨人事周りへの商材を経験。
ある方に「人事の仕組みを知らずに働くのは、ルールを知らずにスポーツをするに等しい」という話を聞きCANTERAに参加。
CANTERANOTEの裏方として少しお手伝い。

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なぜならリファラル採用を適切に実行できる企業には「嘘」がなく、「企業の課題」もオープンにされているので、認識齟齬による労働者と企業のご縁が悪くなる可能性がとても低いからです。
企業側にとっても経営が苦しい中、採用に関して外部機関に頼ることで発生するコストは極力抑えたいのではないでしょうか。せっかくコストをかけて採用した社員がすぐに離脱してしまうという事故も防ぎたいのではないでしょうか。
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