【CANTERA 修了生×堀尾司】負のスパイラルから抜け出せた”自分らしさ”の追求。「あるべきマネジメント像の呪縛」

最終更新日:2020/12/02

Writing by:堀尾 司

今回、CANTERA 代表の堀尾司が対談したのは、CANTERA ACADEMY3期卒業⽣の矢部真理子さん。現在はさくらインターネット株式会社にて人・組織で事業に貢献するための人事業務全般を⾏っています。

今回は、卒業生の矢部さんに「自分らしくやりがいを持って働くにはどうしたらよいか」など、CANTERA代表の堀尾司がお話をうかがいました。

人と自分を比較するときに起きる劣等感

堀尾:今日は矢部さんという人そのものに焦点をあてます!

矢部さん:あ、そういう内容なんですね。よかった。実は最近、私の中では低迷期だったので、仕事について聞かれると答えられないかもなぁと思っていたんです。

堀尾:そうなんだ。ちょっと意外だけど。低迷期というのはたまにやってくるの?

矢部さん:あります。人と自分を比較するときに陥るんですよ。コロナ禍で大きな環境の変化に対応するために忙しかったころはよかったのですが、少し落ち着いた今、メンバーの成長がすごく感じられるんです。
メンバーの成長が見える分、自分はできていないと比較して自分を見失っていたのかもしれない。

堀尾:もっと認められたいといった感情?

矢部さん:相反する感情が混ざっていますね。メンバーの成長は心から嬉しいんですが、自分が置いていかれる焦りと半々です。

堀尾:そういうときに、どう乗り越えていくの?

矢部さん:人と自分を比較する時って、自分を肯定できていない時なんですよね。
誰かに認めてもらいたいと願うことは悪いことではないんですが、逆に誰かに評価されることに躍起になってしまうと、自分の人生を生きてないことだと思います。

あと、居場所が会社だけとか唯一になってしまうと行き場がなくなってしまう。社外にも居場所があると客観的に自分を見ることができるなって思います。

姪っ子さんとのひととき

あとは、信頼できる人に話すのも大事かなと。先日、上司と1on1のときに思い切って相談しました。

堀尾:成長への意識があるからこそ、ジレンマを抱えることもあるだろうし。

矢部さん:うーん、理想があるのかな……。でも人と自分を比較するのはよくないと改めて思いました。劣等感は人に対して抱くのではなく、自分の理想とのギャップで抱きたいですね。あと、上司に受け止めてもらったらそれだけですっきりしました(笑)。

早いうちに、マネジメントの修羅場を経験

堀尾:振り返ると人事を始めてからどれくらいですか?

矢部さん:社会人5年目くらいかな。気象観測機器を扱う会社で社長秘書をやっていたんですよ。小さい会社だったので、社長の考えをもとに採用活動をさせていただきました。

堀尾:それが人事ごとのスタートね。

矢部さん:そうした中で、人が集まればこんなに企業って豊かになるんだな。そしてお客様に貢献できるんだなと思うようになったんです。企業の存続にとって人を採用し活躍してもらうことの重要性を身に染みて感じました。

ただ同時に、無力さを感じました。採用活動を推進するには見よう見まねのスキルではダメだなと思って。社長にムリを言って転職しました。

堀尾:なるほどね。次の会社は人材系だよね。

矢部さん:そうです。ちゃんと人について学びたいと思って人材系の門をたたきました。人や組織を通じて企業がどんどん成長して、お客様に価値が届くって素敵だなって漠然と思っていたからなんですけど……それは今でも強く思っています。人や組織を通じてお客様、会社、ゆくゆくは社会に貢献できるようになりたいです。

堀尾:それを今、さくらインターネットでやらなきゃと思っている感じ?

矢部さん:プレッシャーみたいなものではないですね。実は私飽きっぽくて(笑)、現職は社長の個性もあって、次々に新しいことがはじまる。自分の予想をはるかに超える何かが起きるほうが楽しいですね。

堀尾:これまでのキャリアで一番大変だった時期っていつ?

矢部さん:前職の人材系の会社での経験です。急遽、マネジメントをさせていただく立場になった時ですね。マネジメント経験のない私が20人くらいのチームをマネジメントさせていただくことになったんですね。当時の私は、管理型の上司像しかもっていなかったので、スキルもないのに管理だけして口うるさい、最悪な状態になってしまったんですよ!

堀尾:それは部下からしたら大変だね!

矢部さん:チームメンバーはプロフェッショナル集団でもあったので、正面から正論でマネジメントに対してのクレームを言われちゃったんです。でもそこで、人は気持ちよく働かないと成果は出ないし、そのためにはまずはメンバーを尊重することだなと気づきまして。少しずつですが行動を変えていけるきっかけになったと思っています。

楽しくやりがいがある職場をつくりたい!

堀尾:それって自分だけで気づいて変えていけたの? 誰かに相談したの?

矢部さん:前職の社長との1on1の時に、「矢部ちゃんらしくないな。マネジメントも矢部ちゃんらしくやればいいんだよ。明るく、元気に。」と言ってもらえたことは大きかったですね。いよいよ切羽詰まってマネジメントの書籍を読みあさり真似をしようとしている矢先に「矢部ちゃんらしく」って(笑)。

それからは、メンバーひとりひとりを尊重すること、そして対話を大切にしました。
そして、話しかけやすいように明るく、元気に。
1on1やったり、毎晩メンバーと飲みにいったりしてましたね。あまり今と変わらないですね。

堀尾:べたべただね!

矢部さん:そうですね!その頃の私は、趣味優先で定時で帰りたいと言うメンバーを肯定できなかったんです。それが、1on1でちゃんと話を聞くと、その人にとっての趣味は仕事と同じくらい大切なものなんだなってわかって。同じ会社で働いているのに価値観は全員違うんだなと気づいたり(笑)。

堀尾:そういう修羅場を早くくぐれてよかったのかもしれない。

矢部さん:めっちゃくちゃ修羅場でしたよ(笑)。でもこの経験があってよかった。今、社内で苦労しているマネジャーと話をする時に心から共感できるのはこの経験のおかげだと思っています。

堀尾:経験をいっぱい重ねて学んでいくスタイルなのかもしれないね。

矢部さん:そうですね。まず挑戦して、あとから振り返って整理するタイプだと思います。机上で勉強しているだけだと、全然アウトプット出せないんですよ。私のベースは「置かれた場所で全力で咲く」だと思います。

だから、何をやりたいかと問われても具体的に出てこなくて。キャリアに対するこだわりもあまりなくて。みんながわくわくすることとか役に立てることとか自分で見つけてやりたいと思っています。

堀尾:仕事を通じてどういうことをしたいと思っているの?

矢部さん:自分の興味関心にそって強みや個性を活かし、社員、お客様、会社、そしてゆくゆくは社会に貢献できる仕事をしたいとは常日頃思っています。

管理型のマネジメントをしてたころは自分の個性を殺して、上司とはこうあるべきと思い込み演じていたので苦しかったんですね。個性を活かしたマネジメントができると、まず自分自身がマネジメントをすることが楽しくなります。

苦手なところは強みを発揮できるメンバーに助けてもらおうって思えるようにもなりました。

堀尾:なるほど。

矢部さん:現職で実現したいのは、社員が楽しくやりがいをもって働けることです。これが一番、社員だけではなくその先にいる家族にも喜んでもらえるんですよ。

例えば、どんなに福利厚生が整っている会社に勤めていても、親が毎日生き生きして家に帰ってくる方が、子どもはうれしいですよね。

だから、楽しくやりがいがある職場にする。それだけをシンプルに思っています。

強みを活かし、弱みをフォローし合える働き方を目指す

堀尾:ライフプランの方で思っていることは?

矢部さん:あんまり計画はないですけれど(笑)。
プライベートでは週1回コーチングを受けています。自分のありたい未来を言葉に出すってとても大事なことで、言葉に出して小さな一歩を起こしただけで自分の未来を変えることができると強く思えるようになりました。
これはマネジメントをする上でもとても役に立っていて「自分も含め人には可能性がある」と心から思えるようになりました。

仕事の延長線ですいません(笑)。ただ興味関心があることは仕事とプライベートに線引きがないのが私の特徴かもしれませんね。

堀尾:自分らしさだよね。

矢部さん:コロナにおいて、セルフマネジメントが重要だと思います。
現職は2020年3月以降リモート前提の働き方に舵をきりオンラインで面談や会議をしていますが、イライラを募らせるとそのまま抱えがちなんですよね。

だからこそ、自分が心と体が健やかであることは重要ですし、ゆくゆくは社員の心と体のセルフマネジメントの支援もしたいと思うようになりました。

堀尾:なるほど。

矢部さん:心と体を健やかに保つために瞑想をはじめたんですが瞑想が全然できなくて。雑念が浮かんで静かにしていられないんですね。

そして、ヨガを始めたんですが、ヨガは心と体を今ここに繋いでくれるものなんだなと実感しています。今は、ヨガと人事の組み合わせとか考えています…(笑)。

ワーケーションに取り入れたヨガ

堀尾:そうなんだ。またここから忙しいね。人事としてというより、人としての成長過程をいっぱい聞かせてもらったなと感じているんだけれど。そういう矢部さんからぜひ読者にメッセージをお願いします!

矢部さん:人事の仕事をしている方って、利他的になりすぎて、自分をないがしろにすることも起こると思います。

まず、自分自身の心と体が健やかであり満たされるようにしていくことをしていただきたいですね。

堀尾:バランスをもったうえでの利己的ということね。

矢部さん:そうですね。あとは、それぞれの興味、関心に沿って、強み、個性を活かし、苦手なところはフォローしあえる働き方ができると、働くこと自体が楽しくなるのではないかと思います。私もまだ実現できていないですが、それは私のWillだと思います!

堀尾:どうもありがとうございました!

矢部さんが過去執筆された記事はこちら。是非ご覧ください!

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執筆者

堀尾 司

CANTERA責任者 兼 講師

(株)All Personal代表取締役CEO 1973年北海道生まれ。1994年(株)リクルート入社。2004年ソフトバンクBB(株)入社。ソフトバンク通信事業3社を兼任し、営業・技術統括の組織人事責任者に従事。2012年グリー(株)入社。国内の人事戦略、人事制度、福利厚生、人材開発の責任者を歴任。2014年より東京東信用金庫に入庫し地域活性化に従事。

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