人事担当者のキャリア形成を考えてみた(前編)

最終更新日:2020/11/19

Writing by:平山鋼之介

こんにちは。CANTERA ACADEMY4期生の平山です。

今回はこれまでとは少し趣を変えて「人事担当者のキャリア形成」について考えてみようと思います。
※結構な長文になりますので前編、後編の2部構成でお届けします。

人事担当者になるには

人事担当者のキャリア形成を語る前の第一歩として、そもそも「どうしたら人事担当者になれるんでしょうか」という問いがあります。

私自身もこれまでの約10年間の人事としてのキャリアの中で社内外の何人もの方からこの質問を受けてきました。

こういった問いへのアンサーとして、一般的に多い人事担当へのルートをまとめてみました。

1.新卒で入社していきなり人事部に配属されるパターン

いわゆる配属ガチャ。配属可能性や人数枠は会社によりけりとなります。一般的には新卒採用担当か労務担当に配属されることが多くなります。

このパターンは人事部内でジョブローテしながら人事のゼネラリストとしてキャリアを積むイメージです。

2.事業の現場で数年のキャリアを積んでから異動となるパターン

新卒採用/中途採用/研修担当など事業との距離感が近い業務を担うことが多くなります。対人対応力の高さやルックス/キャラクターが重視される傾向にあり、結果的に若手のエースクラスであることも多くなります。

このパターンは事業側の経験と人脈を武器に社内キャリアを切り開いていくイメージです。

社内異動のためには、リクルーターなどで採用活動に携わる経験などを積み重ねておくことも有効な場合が多いです。

3.労働組合からの異動パターン

歴史のある大企業ならではのパターンといえます。労務担当、制度担当などを経て、数年後には労使担当になるという政治的/戦略的な要素もあります。

4.人材紹介会社、採用支援会社からの転職パターン

未経験者が人事担当になるための、最も実現性の高いルートと言えます。採用の専門家として入社後も採用担当を担うことが多くなります。

営業スタンスで採用活動を行うので、高い成果が出やすく、キャリアチェンジの成功事例が多いのも特徴です。

5.戦略系コンサルファームからの転職パターン

制度担当、戦略人事など上流業務を担当した後、責任者クラスに任用されることが多いパターンです。

コンサルファームで数年間の激務の後、社外の立場からでなく当事者として制度改革などを実行したいという動機でキャリアチェンジすることが多いです。

人事へのキャリアチェンジは引く手あまたですが、そもそもコンサルファームに入る難易度が高くなります。

この他にも、数年おきに強制ローテーションが行われる大企業で、たまたま人事部に異動になるというパターンもありますが、同じ理屈で数年後には人事部から離れてしまうので、選択肢からは除外しました。

当然ながら全てを網羅出てきているわけではなく、別ルートで人事担当になる方もいらっしゃると思いますが、そこはお目こぼしください。

人事業務の種類

続いて人事業務の種類を整理してみました。

◆労務管理

給与計算、社会保険手続き、労働時間管理、安全衛生管理など社員が安心して働くための土台となる業務となります。

人事業務の中で最初に整備する必要がある業務であり、いつの時代もニーズが多い領域です。

労働関連法や税金、社会保険など硬めの専門知識が求められ、業界や企業規模を問わずに汎用的に生かせる知識と経験が得られます

重要な業務と言える一方で、昨今では社会保険労務士や外部のアウトソーサーに委託されることも多い業務とも言えます。

◆採用業務

新卒採用/中途採用/派遣採用など事業に必要な人材の調達をする業務です。

同じ採用でも新卒/中途/派遣ではそれぞれ必要な専門性が異なります。

営業/マーケティングのスタンスが求められる業務であるため、事業経験が活かしやすい業務です。

組織の拡大フェーズでは最も重要な業務の一つである一方、外部の支援会社の活用も進んでいるため、専任の採用担当を置かずに経営者や事業担当者がその責を担うことも多いようです。

◆人材開発、組織開発

社員が事業でより高い成果を出せるようにするために、必要な知識やマインド、仕組みを考える業務です。

業務知識に加えて、経営論や組織論、発達理論等の心理学的知識、カウンセリング/コーチングなどの対人支援技術など高い専門性が求められます

短期的な成果が見えにくいため、人事業務の中では相対的に後回しにされたり、業績悪化時に真っ先に予算が削減されることが多くなります。

◆制度企画

報酬/等級/評価制度などの硬めの制度から、福利厚生や働き方改革、社員間のコミュニケーション促進など柔らかめの制度までその範囲は様々です。

人事業務の中では上流に位置し、労務管理と人材開発/組織開発の知見が必要なうえ、経営陣とのコミュニケーションも必須であるため、ベテランの担当者やコンサル出身者が担当になることが多くなります。

次回の後編では、今回のメインテーマでもあります、

◼︎よくあるキャリアパターン

◼︎ 経験者がぶちあたるキャリアの壁

◼︎これからの人事担当者のキャリアデザイン

について考えていきたいと思います。

人事としての専門性を高めたい!とお考えの方はこちらを是非ご覧ください。

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執筆者

平山鋼之介

CANTERA4期卒業。
学生時代にインターネット関連の事業起ち上げを経験の後、商社系携帯電話販売代理店にて大手家電量販店の営業を担当。
その後、人事部に異動し採用/人材開発/人事評価・昇格制度を担当。社内カレッジ設立/女性活躍推進/M&Aに伴う人事評価制度改定/企業理念の改定・浸透などの全社プロジェクトを推進。9年間で2,000名以上の採用と6,000名以上の研修を担当。
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