人事担当者のキャリア形成を考えてみた(中編)

最終更新日:2020/11/27

Writing by:平山鋼之介

こんにちは。CANTERA ACADEMY4期生の平山です。
前回に引き続き「人事担当者のキャリア形成」について考えてみようと思います。

※前編の内容はこちらからご覧ください。
主な内容は以下となります。
・人事担当になるには
・人事業務の種類

よくあるキャリアパターン

前編の記事では人事担当者になるルートと人事業務の種類について整理しました。

人事の業務に詳しくない方は前編からお読みいただき、仕事のイメージをもってからお読みいただければと思います。

以下に挙げるキャリアパターンは私の10年強の人事担当としてのキャリアの中で出会った社内外の方々をイメージしながら書いてみました。しかしながら、100人いれば100通りのキャリアがありますので、あくまで“よくあるパターン”の例として捉えていただければと思います。

<よくあるキャリアパターン>

1.労務担当→制度運用担当→制度企画担当→マネージャー

勤怠管理、給与計算、社会保険手続きなどのオペレーション業務から始まり、人事系基幹システムの運用、福利厚生制度の企画/運用、人事評価制度の運用/改定、人員計画の策定/管理といったように業務経験の幅と奥行きを広げていきます。

大企業や歴史のある企業では人事の王道ともいえるキャリアです。労働組合のある企業であれば組合との交渉窓口なども担当することがあります。

ベテランになるとハラスメントやメンタルヘルス、懲戒案件、人員整理など非常に難易度の高い業務を担当することも多く、法務知識や対人対応力も求められます。会社の中枢を担う業務でもあるため、転職はあまりせずに長期間に渡って企業内でのキャリアを積み上げていく方が多いように感じます。

2.労務担当→制度運用担当→労務系スペシャリスト

キャリアの初期は1.と同じく勤怠管理、給与計算、社会保険手続きなどのオペレーション業務からはじまります。その後は企画系の上流業務というよりは社員からの問い合わせ窓口や手続き業務をしながらシステムや制度の運用といったように幅を広げていきます。

煩雑な手続きが多く、専門性も求められる業務であるためベテラン社員(特に女性)が多く、スペシャリストとして社会保険労務士の資格取得を目指す方もいらっしゃいます。

一定の経験と専門性があれば業種や会社の規模を問わず汎用的に活かせるキャリアであるため、転職先の選択肢も多く、ライフステージや働き方のスタイルに合わせて勤務先や就業形態を変える方が多いように思います。社労士事務所や人事労務専門のアウトソーサーにキャリアチェンジするという選択肢もあります。

3.新卒採用担当→研修担当→組織開発担当→マネージャー/人材開発・組織開発系スペシャリスト

前編でも書いたように、新卒採用は新卒入社の初期配属や事業部からの異動で担当になることが多い業務です。学生母集団形成~採用選考~動機形成~内定者教育~入社と1-2年に及ぶ長期プロジェクトであり、社内外の多くの関係者と関わりをもつため、対人対応力やプレゼン能力、調整スキルが身につくのも特徴です。

その経験やスキルを活かして、研修担当に業務の幅を広げ、社員のさらなる活躍を目指して組織開発へと領域を拡大していくというパターンが王道です。

また、人材開発や組織開発は評価制度や福利厚生とも密接にかかわるため、人事制度の運用/企画業務を担当することも多い業務です。

一定の経験を経たのち、マネージャーを目指すかスペシャリストを目指すかは本人の志向性次第といったところでしょうか。研修や勉強会、情報交換会など社外の人事担当者との交流のチャンスが多いのも特徴です。

1.と並んで人事キャリアの王道と言えるパターンですが、会社のダークサイド的な部分にも触れる1.と比較すると、前向きかつ「綺麗ごと」を掲げる業務であることや、社内外で人前に出る目立つ業務であるため、1.2.のタイプからは嫉まれることもあったりなかったり

企業内キャリア以外の選択肢として、コーチングやキャリアコンサルタントの資格を取得して、フリーランスとして研修講師/ビジネスコーチ/採用支援などの道を選ぶ方も一定数います。

4.中途採用担当→研修担当→事業部担当人事(HRBP)

中途採用担当は事業部からの異動や人材紹介/採用支援会社からの転職で担当することが多い業務です。事業部が求める人材を短納期で採用することが求められるため成果がわかりやすく、人事の中では事業部との距離感が最も近い業務と言えます。

一方で中途採用以外の人事業務に触れる機会が少ないため、人事としてのキャリアの横展開が難しい業務とも言えます。一定の社会経験を経てから初めての人事業務として中途採用担当を担う方も多いことから、人事部内のローテーションでも後回しにされがちなことも…

そんな中途採用担当が業務の幅を広げるのに最も適しているのが研修担当です。特に採用した中途入社者に早期に活躍してもらうためのオンボーディング施策からはじめるのがおすすめです。採用業務との連続性もあり、事業部に貢献するという文脈でも自然な形で守備範囲を広げることができます。

また「事業に貢献する人事」というブランディングをすることで中途採用担当~オンボーディング~研修担当~組織開発~事業部人事(HRBP)という流れができ、気づいたら戦略人事担当というキャリア形成につながっていることも。

経験者がぶちあたるキャリアの壁

前項ではよくあるキャリアパターンを書いてみましたが、当然ながらそんなにスムーズにいくことばかりではありません。

我々人事担当者のキャリア形成を阻む壁とその打開策についても考えてみたいと思います。

1.強制ローテーションという壁

新卒一括採用メインの伝統的な大企業に多いパターンです。

3,4年おきにローテーションが行われるため、人事担当の仕事にやりがいを感じていても有無を言わさず他の部署に異動となります。

こうなってしまうと専門性を磨くモチベーションも持てずに、決められたことを回すだけの業務に陥りがちです。

<打開策>

◆上司にストレートに願い出てみる

言ってみれば意外と叶ったりするものです。数年おきにローテーションが行われる会社でも、異動せずにその部署のプロフェッショナルとしてキャリアを積んでいる人はいます。
(中長期的な組織運営を考えれば一定数のプロの存在は必須のため)

その代わり、与えられた業務で高い成果を出すことや、専門性を磨くための努力を怠らないこと、周囲から高い評判を得るための行動をすることなど、希望を申し出るに値する努力は必須です。

◆思い切って転職する

それなりに安定感やネームバリューのある大企業でしょうから、転職への心のハードルは高いものです。しかしながら自分のキャリアの主人公は1人しかいませんから、思い切って人事担当として転職することは非常に意味のある選択肢と言えます。

人事担当として中途入社するということは、転職先では人事のプロとしてのパフォーマンスが求められます。それに対応できるよう他社でも通用するレベルの知識と経験を身につけておくことは必須と言えます。

2.希望する担当業務の空き枠が出ないという壁

自身の歩みたいキャリアのイメージはできてきたが、そのポジションに空きがなく担当させてもらえないという、よくあるパターンです。

<打開策>

◆上司に願い出たうえで、後任者を育てる

安定的な業務運営が求められる人事という業務の性質上、担当変更はできればやりたくないというのが上司の本音だったりもします。よって、いつかチャンスが回ってくると思っている「白馬の王子様待ちのシンデレラ」状態ではチャンスはほぼやってきません。

まずは上司に「今すぐ実現できないのは分かっているが、〇年以内をめどにあの業務担当をやりたい」と言ってみるところから始めましょう。

さらに、自分が今の業務から抜けても業務運営に支障がないと思ってもらえるための後任の育成も必須です。上司は担当変更がイヤなのではなく、業務が回らなくなることを恐れているのです。目の前に育てる後任がいないのならば、来るべき時に備えて情報やマニュアルの整備などできることから準備をはじめましょう。

自分だけでなく、後輩たちのキャリアを切り開くためにも、まずはあなたが行動を起こしましょう。

◆プロジェクトなどの組織横断のタスクに参加する

部署をまたぐ異動でも、人事部内の異動でも同様ですが、人事異動における必要な条件は、「受け入れ先の部署から欲しい人材と思ってもらえること」です。プロ野球やサッカーにおける移籍やトレードをイメージしてもらえるとわかりやすいと思います。

この観点からすると、組織横断で行われるプロジェクトは自分の名前を売るための千載一遇のチャンスなのです。プロサッカー選手がナショナルチームに入って活躍し、ヨーロッパ―の一流チームへの移籍を果たすのと同様です。いかに他部署/他チームの人から「○○さんっていいよね」という評判を集めるか、これに尽きます。

「なんか、あざとくて嫌だな・・・」と思ったあなた、そんな心構えでは自分の得たいキャリアは掴めないかもしれません。社内のプロジェクトに手を挙げることと、転職のために会社を辞めること、どちらの方が高いハードルなのか想像してみましょう・・・

3.自分に新しい業務を担えるのか不安という壁

希望のキャリアイメージは描けたものの、長年慣れ親しんだ業務から離れ、新しい仕事を覚えるというのは心理的なハードルがあるものです。

<打開策>

◆飛び込む、勉強する、話を聴く

もうこれしかありません。

1人で無理なら、背中を押してくれそうな人を探して相談し、勢いよく背中を押してもらいましょう。

自分のキャリアイメージの解像度が高くないと勇気がなかなか湧いてこないかもしれません。解像度を上げるために社内外の経験者の話を聴いてみましょう。

思った以上に長文になりましたので、今回の中編はここまでです。

次回の後編(最終回)では「これからの人事担当者のキャリアデザイン」について考えたいと思います。

人事としての専門性を高めたい!とお考えの方はこちらを是非ご覧ください。

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執筆者

平山鋼之介

CANTERA ACADEMY4期卒業。

学生時代にインターネット関連の事業起ち上げを経験の後、商社系携帯電話販売代理店にて大手家電量販店の営業を担当。
その後、人事部に異動し採用/人材開発/人事評価・昇格制度を担当。社内カレッジ設立/女性活躍推進/M&Aに伴う人事評価制度改定/企業理念の改定・浸透などの全社プロジェクトを推進。9年間で2,000名以上の採用と6,000名以上の研修を担当。

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