人事担当者のキャリア形成を考えてみた(後編)

最終更新日:2020/12/04

Writing by:平山鋼之介

こんにちは。CANTERA ACADEMY4期生の平山です。
いよいよ「人事担当者のキャリア形成」の最終回です。

※前々回の内容はこちらからご覧ください。

・人事担当になるには
・人事業務の種類

※前回の内容はこちらからご覧ください。

・よくあるキャリアパターン
・経験者がぶちあたるキャリアの壁

後編 これからの人事担当者のキャリアデザイン

前回まで、私の独断と偏見による人事担当者のキャリア形成を書き綴ってきました。

今回、なぜこのテーマでCANTERA NOTEを書こうかと思ったのか。

それは、自分自身を含めて「これからの人事担当者のキャリアデザイン」に危機感を抱いているからなのです。

「VUCAの時代」という言葉は、皆さん耳にタコができるくらい聞いていると思います。

そして、そんな最中に新型コロナウィルスのパンデミックがやってきました。

事業のあり方、組織のあり方、働き方の常識が大きく変わったとも言われています。
その一方では、「本質的には何も変わっておらず、インターネット/DXによって遅かれ早かれそうなっていたであろう時代が思っていたよりも早く、一気にやってきた」という意見も多くみられます。
私自身も後者の意見に賛成です。

インターネットの常時接続と高速化、スマホの全世界への普及によってビジネスのルールは大きく変わりました。

自動車のEVシフトのように、インターネット以外でも技術革新による大きなゲームチェンジが今まさに起こっているのです

このような時代に我々人事担当には何が求められているのでしょうか?

1.戦略を実行するための機能としての人事という立場

組織は戦略に従う」というチャンドラーの名言があります。

その一方で、「戦略は組織に従う」という真逆の言葉をアンゾフが提唱しました。

いずれの主張も、経営における戦略と組織の本質を語っていますが、この両方の考え方を右手と左手に持って事業に貢献していくというのが、私たち人事担当に求められることではないでしょうか。

前者は、企業が存続/成長していくための戦略があり、その戦略を実行するために最適な組織体を考え、その組織を構成する人材のパフォーマンスを最大化するということが求められます。事業環境が変化し、戦略が変わったならば組織も人材管理も変えていかなければならないというアプローチです。

後者では、戦略を実行するのは組織であり、その組織を構成するのは人であるという考え方です。どんなにすばらしい戦略があっても、それを実行できる組織と人がいなければ絵に描いた餅になってしまうということです。

これらはいずれも正解であり、両方の視点から的確な判断を繰り返していくことが企業の存続/成長には欠かせません。

人事担当者は勉強熱心な方が多く、アカデミックな領域とも距離が近いため、ややもすると「理論的に正しい施策」や「他社で成功した施策」、「社外から評価される施策」の実行に夢中になってしまうことがあります。

戦略人事という言葉が「事業戦略を実現するための人事機能」ではなく、「戦略的に人事がやりたいことを実行する」と曲解されているような状況を目にすることもあります。

本来の目的である「企業の存続/成長=戦略の実行」を忘れ、人事担当者の自己満足のために会社の貴重なリソースを無駄遣いしてしまっているということも起こりかねません。

かくいう私もそういった考えに陥りそうになったことは何度もありました。

そうならないためにも「戦略を実行するための機能としての人事」というスタンスを私たち一人ひとりが自覚し、事業環境の変化のスピードに合わせたアジャイルなHRを実現させる必要があります。

変化に素早く対応するためには大きな組織では解決すべきハードルが多くなってしまうため、事業体に合わせたHRBPのような機能が重視されるのも必然の流れと感じます。

このような前提下において、私たち人事担当者に求められる機能=めざすべきキャリアは、

・事業のパートナーとしてスピーディーに幅広く対応できる人事ゼネラリストとしてのHRBP

・人事の特定領域の専門家としてHRBPを後ろで支えるプロフェッショナル

という2つに収斂されていくと思います。

どちらのキャリアを選択するのか、自身のこれまでの経験や強みに照らし合わせて解像度の高いイメージをつくりはじめてみてはいかがでしょうか。

2.従業員のチャンピオンとしての人事という立場

ウルリッチは人事の4つの役割の1つとして「従業員のチャンピオン」という表現を使いました。この観点からも人事担当のキャリアについて考えてみたいと思います。

少子高齢化や新卒一括採用の弊害などを背景に、雇用の流動化や働き方改革は長年の大きな社会課題になっていましたが、日本特有の同調圧力の強さなどを背景に、大きな進展はないまま時間だけが過ぎてきていました。

正確には、IT業界/スタートアップを中心に柔軟な働き方を実現している企業と、同調圧力が強く、新しい施策がなかなか実現できない歴史のある企業との間に分断が広がっていったというのが、この十数年間の実態であったと言えます。

そんななか、新型コロナをきっかけに、リモートワークや副業/兼業、ジョブ型雇用など働き方に関する共通概念が一気に変化しました。

この変化は不可逆であり、仮にワクチンの開発などで新型コロナの脅威が無くなったとしても、一度変わってしまったこの常識が元に戻ることはありません。

企業はコロナ以前に戻したいと思っていても、その組織を構成する私たち一人ひとりの意識は大きく変わってしまったのです。

アフターコロナの世界を想像しながら事業を回復、成長させたいと思う経営者と、多様な働き方の選択肢を知ってしまった社員の間に立ち、適切な落とし所を探り、連結ピンとなることが私たち人事担当に求められている重要な役割と言えます。

そんな中で、人事担当である私たち自身のキャリア形成はどうあるべきなのでしょう?

その一つの解として、従業員のチャンピオンである私たちが、ロールモデルとなることを提唱したいと思います。

・柔軟な働き方と組織への高い貢献を両立すること

・ビジネス環境の変化を先取りしてアップデートし続けること

前者は説明の必要もないと思います。リモートや副業をしていても高い成果を出せるということを私たちが実証しましょう。

そして、これからより重要になってくると感じている後者についても向き合ってみましょう。

DXと新型コロナの影響により、ビジネス環境は大きく変化し、これまでのような雇用の維持が困難になってくる会社が目立つようになってきました。

会社だけでなく、個人である我々も外部環境の変化に取り残されることで、キャリア断絶のリスクがあるという厳しい現実が目の前にあるのです。

多くの社員が早期退職や整理解雇に追い込まれてしまう状況になる前に、一人ひとりがキャリア自律し、

・変わりゆく環境の中でも成果を出せるようアップデートし続けること

・副業/兼業/ボランティアなどの経験を本業に活かし、ポジティブスパイラルを築いていくこと

・組織に頼らない個としての価値を高めていくこと

こういったことを体現するロールモデルに、人事担当者である私たちがなるのです。

「特別でない普通の私たち」が変わっていく姿を見せることで、「私にもできるかも」という共通認識を広めていきましょう。

その第一歩としてCANTERA ACADEMYに参加してみるというのも悪くない選択肢だと思います(笑)

と、宣伝をオチにしたところで「人事担当者のキャリア形成を考えてみた」を締めたいと思います。

最後まで読んでいただいた方、超長文にお付き合いいただきありがとうございました。

※前編の内容はこちらからご覧ください。

※中編の内容はこちらからご覧ください。

人事としての専門性を高めたい!とお考えの方はこちらを是非ご覧ください。

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執筆者

平山鋼之介

CANTERA ACADEMY4期卒業。

学生時代にインターネット関連の事業起ち上げを経験の後、商社系携帯電話販売代理店にて大手家電量販店の営業を担当。
その後、人事部に異動し採用/人材開発/人事評価・昇格制度を担当。社内カレッジ設立/女性活躍推進/M&Aに伴う人事評価制度改定/企業理念の改定・浸透などの全社プロジェクトを推進。9年間で2,000名以上の採用と6,000名以上の研修を担当。

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