「リーダーシップ」は全員が持つべきスキルなのか?

最終更新日:2020/12/03

Writing by:神﨑哲

こんにちは。CANTERA ACADEMY5期卒業の神﨑哲です。

コロナが世界中に猛威を振るう中、ビジネスの現場では情報が錯綜し、先行き不透明な状態が依然として続いています。

日々、ニュースやSNSを通じて、リアルなリーダーシップに触れる機会が多い今だからこそ、改めてリーダーシップの必要性について考えてみます。

そもそもリーダーシップとは?

2020年、世界の国々はコロナウィルスによってこれまで経験したことのない経済的な危機に直面しています。日本においても、世論に押される形で2020年4月に緊急事態宣言が出され、街なかの雰囲気が一気に様変わりしたことは記憶に新しいかと思います。

”ニューノーマル(新しい日常)”といった言葉がメディアで踊り、YouTubeでは有名アーティストが「Stay Home」と自宅にいることを訴えたり、正しい手洗いの仕方を動画で配信したりしていました。

一方、ビジネスの現場に目を向けると、「リモートワーク」、「時差出勤」、「時短営業」、「デリバリーサービス」などコロナ禍において少しでも感染を抑制するため、また感染を抑制しつつ事業を継続するための様々な工夫や取り組みがなされています。
そしてこれら一つ一つには、リーダーとしての意思決定が存在しているはずです。

少し前置きが長くなってしまいましたが、私たちはこの間、ニュースやSNSを通じて、国内外の様々なリーダーシップを見たり触れたりする機会がありました。

改めて、「リーダーシップ」とはどのように定義されるでしょうか?

リーダーシップについては、これまでさまざまな有識者たちが提唱してきました。ここでは、経営学者として有名なピーター・ドラッカーが提唱したリーダーシップ論を引用させて頂きますが、リーダーとはカリスマ性とは関係がなく、人々が自ら「つき従う」ことだとしています。
ドラッカーは、リーダーシップについて「仕事・責任・信頼」という言葉を使って定義づけています。

1.リーダーシップは生まれ持った資質ではなく「仕事」である

2.リーダーシップは地位や特権ではなく「責任」である

3.リーダーシップは「信頼」である

よって、リーダーシップとは政治家や著名人、ビジネスリーダーといった方々だけではなく、実は2,3歳児が公園の砂場で遊ぶ場面においても、立派なリーダーシップが存在していると言えるのではないでしょうか。

リーダーシップの3つのタイプ

次に「リーダーシップ」を別の角度から言及したいと思います。
リーダーシップには「タテ型」と「ヨコ型」と「ナナメ型」と3つのタイプがあります。

「タテ型」とは、指示命令やティーチングを多用するやり方で、リーダー自身が課題の解決方法を熟知している場合は、「タテ型」のリーダーシップが効率的で、間違いを起こすことが少ないでしょう。

前例を踏襲でき、ある程度予測可能な環境においては、「タテ型」のリーダーシップが有効です。プロサッカー選手の本田圭佑さんは、まずは自分が結果を出す率先垂範をされ、ビジョンやゴールを明確に示し、周りに徹底的に理解させるなど、まさにタテ型リーダーシップに相応しい方です。

「ヨコ型」とは、上下関係をなくし同じ目線で一緒に物事に取り組むやり方で、リーダー自身がハブとなり他のスタッフや他の部門との連携を強化することで、シナジー効果が期待できます。

少し古い事例となりますが、日産自動車の前社長カルロス・ゴーンさんが就任後に最初に指摘したことは、組織が縦割りでそれが様々な問題を引き起こしている原因であることでした。その後、組織の枠を越えたクロスファンクショナルチームを作ったことは当時としては画期的な改革でした。

最後に「ナナメ型」とは、コーチングを主眼におき、働き手の自発性を促すやり方で、リーダーが命令権限のある自分の部下にビジョンや進むべき方向を示すタテ型とは対極的なタイプです。

ここ数年の間に「1on1面談」が急速に普及し、言葉としても定着しましたが、まさしくこの場で必要なことが「ナナメ型」のリーダーシップです。上からでもなく、寄り添うでもなく、部下の機微を捉え、質問を通じて部下を動かす手法です。

青山学院大学の原晋監督は、監督の仕事は管理をすることではなく、学生の変化を感じ適切な手を打つこと、上意下達より理念浸透を通じて組織を創ることと述べていますが、これこそまさにナナメ型リーダーシップのお手本となる言動です。

みなさん自身はどのタイプのリーダーシップでしょうか。もちろん、一つだけとは限りません。組織は常に変化をしています。理想としては、一人ですべてのタイプのリーダーシップを”演じる”ことが出来れば、組織の変化に応じて、柔軟にチームを適切な方向に導くことができるかもしれません。

しかし、そこまで器用な方はなかなかいらっしゃいませんね。そんな時は、自分に足りない部分を信頼のおける同僚や部下に任せてしまうことも一つの方法ではないでしょうか。

リーダーシップは全員が持つべきスキルなのか?

学生時代の就職活動や転職活動の面接の中で、「あなたは、リーダーシップを発揮した経験はありますか?」と、皆さん1度は聞かれたご経験があるのではないでしょうか。
果たして、リーダーシップは全員が持つべきスキルなのでしょうか?10人のチームで、全員が強いリーダーシップを発揮したら、逆にチームとして機能しないのではと思うかもしれません。

しかし、全員がリーダーシップを持つべきではないかと考えられます。
正確に言えば、ピラミッド型で指揮命令系統が明確な従来の組織が機能していた時代では必要はなかったものの、VUCA(※)と言われる今の時代において、たった一人のリーダーに頼るのではなく、一人一人が与えられた役割や責任の範囲の中で最大限のリーダーシップを発揮するべきだと考えます。

(※)VUCAとは

V olatility(変動性)

U ncertainty(不確実性)

C omplexity(複雑性)

A mbiguity(曖昧性)

から頭文字をとって作られた単語であり、現代のカオス化した経済環境を指す言葉です。一言でいうと「予測不能な状態」を意味します。

ではなぜ、全員がリーダーシップを持つべきなのか、その理由をブログ「「Chikirinの日記」のたとえ話を一部引用させて頂きながら説明したいと思います。少し長い文章ですが最後までお付き合いください。

……

とある高校の文化祭で、クラスの出し物をすることになりました。初めは誰も意見を言いません。
責任者のAさんは、意見を言ってくれそうな人を指名し、ようやくいくつかアイデアが出ました。

黒板に書いていくと、今度は一気にいろんな意見が出はじめます。「校則問題を取り上げた演劇をやろう」「屋台を出して儲けよう」「有名なゲストを招いて講演」…。どうまとめるか考え、それぞれの案を整理して、次週にまた討議して最終的に多数決で決めることにしました。
その週、Aさんは資料をまとめて、先生と予算も相談しました。

2回目のクラス討議。Aさんは、いくつかの論点(全員が参加できるか、必要な設備はあるか、他のクラスとかぶらないかなど)を説明します。
みんな「ふーん」と聞いています。ひとりが、熱心に「校則を守らない人が目立つから、演劇で校則問題をやりたい!」と強く主張します。

しかし話が長くて要領を得ないので、みんなしらけはじめます。他の案の話になっても、彼はすぐに話を戻します。 Aさんに「なんとかしろよ」という視線を送る生徒もいます。何人かは「用事が…」と席を立ってしまいました。
Aさんは、延々と話す彼を止めて他の生徒に発言を求めますが、誰も話しません。袋小路になって先生が介入。先生は何人か意見を出させ、多数決で「ゲストを呼んだ講演会」に決まりました。はじめに挙がった「校則問題の演劇」の賛成者はほとんどいませんでした…。

結局誰を呼ぶのか決めるのも、依頼方法も、依頼のときの説明資料もAさんが中心になって考えねばならなくなりました。
人気講師が来ることになったら、当日の段取りもあります。列をどう整理し、受付をどこに設置するか。マイクを確認し、演台を用意し、飲み物も準備します。
当日になって「ごめん、オレ、部活の出し物と重なってた。受付、できなくなったわ」とか言い出す人もいます。遅れてきたり、いつの間にかいなくなる人も…。

……

たとえ話はここまでといたします。
そして、時は流れて、とある企業で10名がチームを組み、新しいプロジェクトを始めることとなりました。この10人全員が、高校時代にAさんの立場を経験しているチームと、たった一人しか経験がないチームでは、どちらのチームのパフォーマンスが高いでしょうか?

その差は歴然ですよね。

「理屈では正しいけど、ものごとを前に進めない発言をする」

「批判はするけど、代替案がない」

「話がややこりしくなると、無関心になる」

リーダーの経験がない方は、上記のような思考に陥りがちです。この高校で起こった出来事は、みなさんのビジネスの現場でも目にすることがあるのではないでしょうか。

たとえ話のAさんは、リーダーとしてはスキル不足だったかもしれません。しかし、この経験からAさんはきっと、組織が高い成果を発揮するために、自分がどう立ち振る舞う必要があるかを学んだはずです。

業務のIT化が進み、国境のボーダレス化が進み、変化の激しい時代だと言われて久しいですが、今はそれに加えて、コロナの影響もあり、より不安定で不透明な時代です。そんな時代だからこそ、全員がリーダーシップを持つことが必要なのではないでしょうか。

人事としての専門性を高めたい!とお考えの方はこちらを是非ご覧ください。

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執筆者

神﨑哲

CANTERA ACADEMY5期卒業。

リクルート(人材領域事業)、SMS(介護医療人材サービス)、スタートアップベンチャー数社にて、組織変革リーダーとして営業組織をけん引した後、2019年にフリーランスとして独立。採用支援や企業研修、個人のキャリアコンサルティングなどを実施。

2020年11月に株式会社アトリエを創業、代表取締役に就任。介護領域に特化した外国人材のマッチングや採用支援を行う。国家資格キャリアコンサルタント。

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