企業文化づくりは冒険?模索しながら取り組んだこの10か月

最終更新日:2020/12/15

Writing by:平岡 いづみ

事業・組織成長のフェーズで、企業風土や文化が大事だ!と聞いたことがありますし、そう思うけど実際どうしたらいいの?と私自身過去に悩んでいました。

今回、取り組んで1年未満で、まだまだ結果が出たわけではないのですが、模索しながら行っていることに、なにか皆さまの参考になるものがあればと思い執筆してみました。

企業風土と企業文化とは?

そもそも、企業風土と企業文化は何が違うのか。私はもともと国語が苦手でもあり、言葉があいまいだったので考えてみました。

風土…人間の文化の形成などに影響を及ぼす精神的な環境。

文化…複数名により構成される社会の中で共有される考え方や価値基準の体系のことである。簡単にいうと、ある集団が持つ固有の様式ことである。

<Weblioより抜粋>

上記を踏まえて、企業風土と企業文化を以下と考えました。

企業風土…働く社員の人間関係など精神的なものをベースに自然に生まれる環境。

企業文化…企業と社員との間で考え方や価値観などをベースに共有・形成される独自の価値基準やルール。

風土はそこにいる人からうまれてくるもので、文化はビジョンや理念によって作っていけるもの、と考えました。

なぜ企業文化をつくるのが必要なのか?

では、なぜ企業文化をつくらないといけないのか、という疑問が出てきます。

正直創業したばかりのフェーズでは、目標も浸透し全員がその目標に対して必死に事業推進をしていることも多いでしょう。
全員の価値観や状況なども互いに理解できていて、改めて企業文化をつくるということはあまり考えなくても良いかもしれません。

ただ、徐々に人が増えてきたり、創業から少し時間が経つことで、メンバー間でも少しずつ変化が生じたりして、理念への想いの強度にムラがでてくると、何を目指すのかという理念と、どのようにビジネスへ向かっていくのかという行動指針、それを実現するための企業文化が必要になってくるかと思います。

ちなみに、「企業文化」と検索してみると、意思決定の迅速化、チームワーク強化、生産性向上、事業成長、などなど必要性と効果が挙げられていたりします。

私は中でも一番大事なのは“一緒に事業成長をするためのベクトル合わせ”をするための“環境作り”だと思っています。

人はそれぞれ異なるので、全員同じものにすることは難しいのですが、同じ方向をみることで、仲間としての一体感も生まれ、また個々人の強い当事者意識も生まれると考えています。そのため共通関心や共感できる環境が大事ではないかと考えています。

どうやって企業文化をつくるのか?

企業文化の重要性は何となくわかったけど、じゃあどうしたらいいの?
という問いが発生しますが、基本的には以下ステップを踏むと良いと考えています。

Step1 企業の目指す方向(理念、事業戦略、指針)を決める
Step2 現状把握をする
Step3 現状と目指す方向とのギャップを埋める施策のPDCAを繰り返す

以下詳細を見ていきます。

Step1 企業の目指す方向(理念、事業戦略、指針)を決める

これは、企業としてどこを目指しているのか、仲間とどこを目指すのか羅針盤のようなイメージです。この理念や目指す方向は、現状の組織にも未来の組織にも影響を与えてしまうので、しっかり考えて決めた方がいいと思います。

可能であれば、全社員参加で一緒にディスカッションして決めると、皆納得感を持てるだろうと思います。
もし全社員で決めるのは難しければボードメンバーをはじめ、幹部でディスカッション、もしくは社員代表でプロジェクトを組んでもいいかもしれません。

目指す方向を示す羅針盤なので、なぜその方向に冒険にいくのか、指針を決める全員が本気でその指針を信じて周囲にストーリーを語れることが重要です。

結構ここは時間がかかると思いますし、考えた人だけでなく全社員が自分事として同じ思いをもてるようになるのは、継続が大事だと思います。

Step2 現状把握をする

今の組織の状態を確認します。ジャングルを手探りで進んでいる感覚です。

色々やり方はあると思いますが、サーベイをとったり、全社員と面談したり、できるだけリアルに、そして多面的に情報を得て把握する方がと良いと思います。

Step3 現状と目指す方向とのギャップを埋める施策のPDCAを繰り返す

Step1と2でみえてきたギャップを整理し、どうやったら目指す方向に進めるか施策を考えます。ジャングルを抜けるために縄やいかだを作るイメージです。

施策で大事にしたのは、“みんながワクワク楽しみながら取り組み続けられるか?”ということ。誰でも面白くないことを強制されても続けられないし、苦痛になってしまい組織疲弊をうむこともありますので、ワクワクが結構大事かな、と思っています。

それでは私がここ10ヶ月で行ったことを挙げてみます。

当社では、Visionは幹部間で決めていました。
しかし、各社員に会社のビジョンや行動指針が浸透しているか、という点についいては「100%」とは言い難い状況でした。
個々が成長を感じながら、相互に活発な意見がでてInnovativeな文化をつくっていきたいと考え、施策としては以下を継続して実践しています。

◆現状把握:
1.従業員満足度調査(サーベイ)の導入

はじめ私はどんなサーベイをとればいいの?と質問項目の設定で結構悩みました。いろいろ参考にもしましたが、他社のものをそのまま取り入れても白けることもありますし、年齢も職種も幅広い人材が社内には所属しているので、誰が受検しても回答できること、ストレスチェック等法定の内容と重複しないこと、最後まで一気に回答できる問題数は……などなど結構考えてサーベイを作成しました。

また、サーベイをとったあとに集団分析をして、現実として結果を見てもらうために全体にシェアもしたかったので、事前にサーベイの目的や運用方法などを全体に説明を行いました。これは遷移をみるため半期に1度行っています。

2.人事面談

合わせて、サーベイだけではみえないアナログな話も聞きたいと思い、人事面談を全メンバーと実施しています。安心安全の場として話をしてもらうことに注力して、大きく3つ(健康面、業務面、組織面)は必ずきくように決めて面談を実施していきました。

面談の場ででてきた個別の質問に関しては、個人に必ずフィードバックし、組織問題だととらえられたものは情報を集約していきました。面談は言葉だけでなくノンバーバルからのメッセージも情報をとらえたいと、かなり集中して行っています。
余談ですが、私は面談終了後に疲労度が結構高く、スケジュールを詰めて行わないようにした方がいいと思いました。。。

上記でみえてきた課題は、大きく以下2点でした。

・部門内でも部署を超えてでも、コミュニケーションをとりたいと思っているが、なかなか取れていない(用がないと話しかけていいのかな?と思ってしまう)

・こうあったらいいのに、と思うことがあっても、ライトに自分の考えを言い出せない(評価されてしまうのでは?や、相手に迷惑をかけてしまうのではないかと懸念してしまう)

課題がみえたところで、まずは個々に成長を感じてもらいつつ互いに意見を出し合える環境づくりからやってみようかと考えました。

◆取り組んだ施策:

1.次世代型キャリア開発システムを導入
個人の価値観や強みの見える化や、1on1等ができ、相互に働く価値観や強みを知ったうえでコミュニケーションができる環境を整備しました。導入時にはワークショップも開催しています。

2.部活動支援
部署を超えた関心でつながり、コミュニケーションをとりながら活動。定期的に各部の活動内容と盛り上がり感を全社へシェアし、ワクワク感を伝播させています。

3.教育支援制度
自らの学びに会社が支援するもの。上司への申請は不要です。

4.社内ベンチャー制度
誰でも起案できる制度。合わせて月1回アイディアをワイワイ出し合える場をつくります。

5.1on1で対話の時間を作る
リーダーと個人とで対話。1on1の話のネタ一覧もいれた資料を作成し配布、また1on1実施者向けの研修も複数回行っています。

まずは、やるべきとか指示ではなく、まずは社員一人一人が互いに価値観などを理解して、考えを言い合える環境をつくり、活発なコミュニケーションがとれるようにと取り組みました。

取り組み始めてまだ1年未満ですが、徐々に盛り上がってきており、コミュニケーションは活発になってきている感じはあります。

部署をまたいだプロジェクトも以前よりは円滑に進められているようだな、とか、新規事業起案にアイディアが出てきている、という成果が徐々に出てきています。

まだまだやり始めたばかりですので、じわじわっと活性化している感じです。文化として浸透していくまで、愚直にとりくんでいこうと思っています。

最後に、企業文化つくりの施策で私が大事にしているのは「ワクワク」「楽しい」を感じながら実行を継続できるようにするにはどうしたらいいか、と考えることです。
それを考えている私が一番ワクワクしているかもです

今回の内容は、あくまで私がどう感じて、どうしたらいいか考えて行っているものです。しかもまだ始まったばかりの状態です。もちろん当社で行ったことが他の会社で当てはまるかはわかりません。

しかも、私も模索しながら取り組んでいるので、数年後には失敗だった……と変更しているかもしれません。今のところは楽しく継続できているので、しばらくは進化させながら継続していこうと思っています。

少しでも参考になりましたら嬉しいです。

さいごに〜平岡さんにとっての2020年を総括すると?〜

平岡さん:
2020年を表す言葉としては”挑戦と出会い”ですね。

今年はManagement Schoolで新しい学びを始め、またCANTERAでの執筆を行なったり講師をさせていただいたりと、私にとっては挑戦の連続でした。

そして新たな素敵な方々との出会いがたくさんあり、充実した2020年を過ごせたと思っています。

平岡さんありがとうございました!

企業文化や風土について深く学びたい方はこちらをご覧ください!

おすすめ記事

これから最低限必要な3つの組織マネジメント手法

リモートワークが過去最大の注目を浴びている昨今、人事としてもこれまでとは全く異なる施策を打ち始めている会社も少なくないでしょう。環境変化の激しい中では、変化についていくために新しい施策を早急に打つ必要があります。

自己主張型人材の活躍と組織文化形成

私は、業務でクリニックの事務長として採用・経営・人事の面で院長をサポートしています。そこで取り組んでいる自己主張型人材へのマネジメントについて、書かせていただきます。

ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)設計

先日、勤務先の企業理念が改訂されました。弊社の企業理念はミッションに置き換えられます。近江商人だった創業家より現代に至るまで引き継がれる「三方よし」の精神。たった四文字のこの言葉は一見すると何でもないただの単語ですが、その裏にある歴史的背景に思いを馳せた時、私たちがビジネスに取り組む時の羅針盤として機能しているように感じます。

【CANTERA talk】アースメディア代表松本淳さんに聞く「今の人事に求められる「人間性」という1つの大切なスキル」

CANTERA NOTEでは、人事領域で活躍される著名人をお招きし、人事パーソンの学びとなるお話をうかがいます。

今回お招きしたのは、一般社団法人アースメディア代表の松本淳さんです。松本さんは、インテリジェンスの創業拡大期に入社後、人材系の会社を起業、拡大後にM&Aで事業譲渡し、現在は国内外の起業家育成に力を注いでいます。また、松本さんのTwitterはビジネスパーソンから人気を集めており、読者のなかには松本さんのTwitterから学びを得ているという人もいるかもしれません。

そんな松本さんに、今の人事に求められる能力や戦略人事リーダーに求める経験やスキル、松本さんが理想とする人事パーソンについてお話をうかがいました。

【CANTERA修了生✕堀尾司】 社会人15年目・HR1年目の水越裕太郎さんが目指すCHROへの道

CANTERAでは、人事領域で活躍している人はもちろんのこと、人事未経験の人も多く学んでいます。 CANTERAアカデミー修了生の水越裕太郎さんもそのひとりです。水越さんはマーケターからHR領域へと半年前に転向し、CHROを目指しています。

今回はCANTERA代表である堀尾と水越さんが対談。水越さんがCHROを目指したきっかけや理想のCHROになるための経験の積み方、水越さん自身が掲げるミッション・ビジョン・バリューや3600人のフォロワーを抱えるTwitterとの向き合い方など、とことんお話をうかがいました。

さくらインターネットの人事ポリシーと私のマネジメント

「社員を信じる」マネジメントの役割は、メンバーの強みを引き出し、自己肯定感をあげ、幸せにすることなのではないでしょうか。そう考えれば、マネジメントは喜びに満ち溢れた仕事になります。

執筆者

平岡 いづみ

CANTERA ACADEMY2期卒業。

大学卒業後、大手食品会社にて総合職として入社し、法人営業をメインに担当。
その後、人材ベンチャーの東京オフィス立ち上げのなんでも屋として勤務。
2006年から現リクルートキャリアにてリクルーティングアドバイザー、企画スタッフ、キャリアアドバイザーを経験。受賞複数。その間2度の産休育休を取得し共に復帰。
リクルートキャリア卒業後は、国の事業に関わったり、ベンチャー企業で人事として採用企画、規程改訂、制度、労務など人事全般と、総務、秘書など色々経験しています。

現在はインサイトテクノロジーにて管理部門マネージャーとして人事全般を行っています。

企業文化づくりは冒険?模索しながら取り組んだこの10か月

事業・組織成長のフェーズで、企業風土や文化が大事だ!と聞いたことがありますし、そう思うけど実際どうしたらいいの?と私自身過去に悩んでいました。

今回、取り組んで1年未満で、まだまだ結果が出たわけではないのですが、模索しながら行っていることに、なにか皆さまの参考になるものがあればと思い執筆してみました。

人材エージェントとリレーション構築の必要論

採用には人材エージェントに依頼する企業も多いのではないでしょうか。費用も成功報酬なのでリスクも少ないし、要件を伝えておくと採用企業に代わって転職市場をサーチして紹介してくれる、と期待しています。
なので私はエージェントとの関係性は大事だと思っています。エージェントとは関係性をしっかり作っておかないと、忙しいエージェントからは自社の優先順位を上げてもらえず、求人依頼してから紹介も連絡もないまま数か月・・・ということもあったりします。
逆に良好な関係性を築いておくと、転職市場感や他社事例だけでなくペルソナ設計や採用手法の相談にも協力してもらえたり、強力なパートナーになってくれます。
今回は、元エージェントだったことも踏まえてエージェントとの良好なリレーションシップについて書いてみます。

ソーシャルリクルーティングをはじめる時のいろはのい

会社が成長期で採用を増やしたい!でも採用費用は抑えたいし、優秀な方を採用したい、というニーズの高まりから転職潜在層の採用が可能になるソーシャルリクルーティングを活用している企業も増えています。運用次第では、採用単価を抑えて優秀な方を採用することができるのですが、ポイントを押さえて運用しないと工数だけかかって成果につながらないということになります。

オンボーディングのウェット必要論

オンボーディング(on-boarding)とは、「船や飛行機に乗っている」という意味の「on-board」から派生した言葉で、人事用語としては、新しくジョインした社員が会社の企業文化・ルールに慣れそして活躍できるまでのサポート・プロセスを指します。

育休明け社員にいきいきと活躍してもらうのは、お互い様感

ダイバーシティとは、簡単に言うと、国籍、性別、年齢、宗教、ライフスタイルなどに固執することなく多様な人材を受け入れることです。最近は男性の育休取得や、高齢者雇用など国が推進していることもありますが、まだまだ自信をもって当社は大丈夫だ!といえる会社は少ない気がしています。