金融業界出身。ガチガチの支配型リーダーが挫折し、支援型リーダーに鞍替えした話(後編)

最終更新日:2020/12/19

Writing by:野添塁

前編では支援型リーダーシップの必要性について私見を述べさせていただきましたが、後編は具体例の形を借りた自分語りです。

前編はこちらです。

なぜドツボにはまり、どうやって抜け出したのか?〜営業マネジメント就任後、ドツボにはまったわけ〜

営業マネージャーをしていた当時、自社のwebメディアの広告営業部門の立上げをやらせていただいたのですが、立ち上げ当初はアウトドアブームの始まりに加え、競合となる存在も少なかったことから絶好調でした。

一年で販売単価を上げることが出来たり、受注条件を自社有利に設定したりと絶好調を謳歌していました。

金融業界出身者の営業スタイルあるあるですが、顧客をグリップする・詰めるなど俗にいうストロングスタイルでも、大型受注やリピーターの獲得ができていました。
その結果当時の私は今振り返りますと完全に調子にのっている状態でした。

Silver Imac Displaying Line Graph Placed on Desk

そんな中、チームの拡大と共にマネジメントに昇格。
「自分のやっていることをマニュアル化して、失敗をせずに再生産できれば売上はもっと伸びていくはず」と勘違いし、新規のメンバーに自分のやっていたことの再現を求めたのです。

◼︎失敗のポイント

メンバーの失敗を認めず、再生産をお題目に自分のやり方を押し付ける支配型のスタイル。

個人の経験やスキルにあったやり方を認めず、自分の管理のしやすさの為にマニュアルを押し付けたことがチームの機能不全の要因だったのは想像に難くありません。

Close Up Photo of a Person Wearing Suit Jacket

その後メンバーとの関係が悪化していったのはいうまでもありません。
自己肯定感が高く、まぁまぁ鈍めの私ですが、メンバーの2/3とうまくいかないのは自分のマネジメントにも非があると考え、マネジメント降板を会社に申し入れました。

申し入れ後に紆余曲折はあったのですが、未経験にも関わらず人事部採用チームの立上げを拝命し、異動することになりました。
※結構、懐の深い会社です!

採用マネージャー異動後、変化のきっかけ〜意識した二つのポイント〜

当時の弊社は二年で社員も三倍超に増加したものの、人事部や採用方針はなく、社長と直轄のメンバー1名で採用活動を進めていました。

Woman Sitting in Front of Macbook

そんな中、採用チームの立上げを拝命したものの、私は人事業務の素人。
何が正しいかの判断基準も自分の中にない手探り状態の為、支配型のリーダーシップで進めようにも自分の中にはなんの基準もありませんでした(笑)

そこで特に意識したのは下記二点でした。

・人事としてのセオリーを身に着ける
まずは自分の中の基準がなければ、方針を作ることもできません。
CANTERAの講座に参加し、人事の基本を学ばせていただきました(詳細は割愛します)。

・採用メンバーへのヒアリング
現在の業務はどんなことをなぜやっているか、どんな業務が楽しいか、実務で困っていることはなにか、をヒアリングいたしました。

自分で自信を持って判断できないことによる怪我の功名か、押し付けではなくメンバー個人に向き合うという行動を重視するようになったんですね。

◼︎具体的な変化

なんということでしょう!
自信過剰で傲慢な支配型リーダーの私が、謙虚な姿勢で教えを乞うように。
自分のやり方を押しつけ、ネガティブな指摘をするのではなく、メンバーの行動原理を知り、ポジティブなフィードバックをするように変化していったのです。

https://images.unsplash.com/photo-1600880292203-757bb62b4baf?ixlib=rb-1.2.1&ixid=MXwxMjA3fDB8MHxwaG90by1wYWdlfHx8fGVufDB8fHw%3D&auto=format&fit=crop&w=1000&q=80

営業マネージャー時代は課題の設定・対策の検討のどちらも自分だけで考え、メンバーには実行策を細かく具体的に指示していました。

採用リーダーになってからは、課題の設定・共有には時間をかけたものの、対応については一緒に考え(自分ではわからないことが多い)、実行をお願いするようになりました。

全てを自分で考え細かく指示をしていた時と比べると、私自身の時間は圧倒的に増えます。

増えた時間でメンバーとコミュニケーションを取り(『話しやすさ』)、困りごとを聞きながら(『新奇歓迎』)それらを解決(『助け合い』)していくと、メンバーからの信頼が増します。

その結果メンバーからの相談も増え(報連相が機能)、相互のコミュニケーションが促進されることで、細かく指示をしなくてもメンバーが自主的に行動をしてくれるようになりました(『挑戦』)。

同じミスが発生することはあるのですが、その他の問題が解決されていることで私自身のストレスが減り、ミスの発生自体は気にもならなくなりました。

当時は心理的安全性を意識して行動したというよりは、行動を振り返ると心理的安全性が担保されていたという結果論かもしれません。
ただし自分自身も圧倒的に楽になった上、営業マネジメント時代に課題に思っていたことの大部分は解決しているんですよね。

結論

アフリカのことわざといわれる、
早く行きたければ、ひとりで行け。遠くまで行きたければ、みんなで行け

結局はこれですね。
アフリカのどの地域のことわざなのか、イマイチ出どころが怪しいのは難点ですが、多分この言葉自体は正しいんだと思います。

7 Elephants Walking Beside Body of Water during Daytime

絶対的なリーダーの思考・判断の下、スムーズに動くメンバー。これが機能する環境であれば、支配型リーダーシップも悪くはないと思います。

しかし、実際には情報伝達(報連相/具体的な指示)にはロスが発生し、誤った情報でマネージャーが判断をすることになったり、正しい判断が実行できないということが頻発します。

支援型のリーダーシップに切換えると、メンバーそれぞれの自主性や創造性が発揮されやすい環境になりますので、間違った判断やミスがあっても相互に補完しあい、PDCAが周りやすくなります。

どんなに優れていても実行できない施策に意味はなく、論理的に正しいだけの施策もまた実行できないことには大して意味はありません。
多少の粗さはあってもチームが前に進んでいける施策が、結果にたどり着ける最適解なんだろうなと実感できたことがこの一年間の私にとっての成果です。

Photo of a Burn Fat Text on Round Blue Plate

本当かどうかはさておき、採用は恋愛や結婚に例えられる事が多いですが、組織開発はダイエットみたいなものだなぁと個人的には思っています。

基礎代謝と摂取カロリー管理、PFCバランスと適切な運動による体づくり。と最適解はあるのに、whyを忘れて極端な手法に飛びつく我々。
※とりあえず、朝バナナとか鯖缶オンリーみたいなやつですw

組織開発についてもその手法論は様々ありますが、本質的にはゴールや目的を共有し、同じ方向に進んでいけることが大事なんだと思います。

支援型リーダーシップや心理的安全性を取り入れること自体が目的ではないので、それぞれの課題にあわせてうまくツールとして活用いただければ幸いです。

さいごに〜野添さんにとっての2020年を総括すると?〜

2020年を総括しますと、2019年以前のダークサイドに向き合い、己を見つめなおす一年でした。
2020年に縮んだ分、2021年は飛躍の年にしていければと思います!

リーダーシップやマネジメントについて学びたい方はこちら!

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執筆者

野添塁

CANTERA ACADEMY4期卒業。

新卒で金融業界へ就職。その後ベンチャー企業へ営業担当として転職し、営業マネージャーを経験。

現在は採用マネージャーとして未知の領域へチャレンジ中です。

金融業界出身。ガチガチの支配型リーダーが挫折し、支援型リーダーに鞍替えした話(後編)

前編では支援型リーダーシップの必要性について私見を述べさせていただきましたが、後編は具体例の形を借りた自分語りです。

金融業界出身。ガチガチの支配型リーダーが挫折し、支援型リーダーに鞍替えした話(前編)

この記事で伝えたいことは二つ。私の体験談から、現代型の知識労働をする職場には支援型リーダーシップの相性が良いという意見がその一つ。

そして、その為のツールとして心理的安全性の考え方が役に立つという体験談が二つ目となります。
※尚、勝ち筋が定まっており(と思いこんでいる)、変化が少ない(させる気がない)昭和型の職場には導入が難しいかもしれません。