エニアグラムを自分とメンバーのマネジメントに活用しよう

最終更新日:2020/12/23

Writing by:澄川寛

私はこれまでに数回、CANTERA NOTEで性格類型分類の「エニアグラム」についてご紹介しています。

今回は過去不本意な出来事で落ち込んだ時に、エニアグラムに助けられたエピソードについて述べたいと存じます。

はじめに:エニアグラムについて

エニアグラムについて、(僭越ですが)あえて簡易な言葉にまとめますと、

◼︎人間の性格は大きく9つのタイプに分かれ、タイプごとのつながりを円上の9つの点が繋がる図としてあらわすことができる。

◼︎それぞれのタイプごとに、どうしても逃れられない『囚われ』がある。この囚われが、それぞれの思考や行動に影響を与える。

◼︎それぞれのタイプの思考や行動について学ぶことで、自分の内面を見つめなおし、自分という存在を受け入れる。

◼︎それぞれのタイプの思考や行動について学ぶことで、他者との違いを受け入れ、より良い関係を築くために役立てる。

◼︎これらの学びを活かして、自他ともに幸せな人生を送ることに役立つ知恵である。

といった概念となります。

こういった基礎的な知識を学んだ時、その知識をどのように使うか???

もちろん人それぞれ。そしてタイプごとの傾向もあります。
私自身はどのような傾向なのか…?とまずはお思いのことでしょう。

私自身、過去不本意な出来事で落ち込んだ時に、エニアグラムに助けられて自分を客観視し立ち直ることができました。

今回は、そんなお話です。

エニアグラム「タイプ6」の私のエピソード

さて、私自身のタイプは「6」です。過去に書いた記事から引用すると、このような性格タイプです。

——————————————-

タイプ 6 :忠実な人/安全を求め慎重に行動する人

ポジティブな面としましては、
・「心配していることは、ほとんど起こらない」ということを受け入れ、おおらかさを身に着けることで成長する。

・「場」をよく見ており、「場全体としてうまく行くように随所で立ち回る」ことで、トラブルを未然に防ぐ役割を果たすことが多い。

という性質があります。

一方ネガティブ要素を含む面としましては、
・自分の居場所(社会的・対人関係)を万全にしたい欲求が非常に強い。

・不安症の人が多く、とにかく安心したい。

・真面目で責任感が強く頼りになるが、本人は失敗しないようにかなり頑張っていたりする。

・組織の中で、自分の居場所・ポジションが危ぶまれるようなマイナス要素を非常に恐れ、リスクヘッジで頭がいっぱいになることもある。

・真面目で責任をもって業務を遂行するのも、自分が失敗して居場所が損なわれることの恐れが非常に大きいため、ということもある。

・とにかく不安症から何でもかんでも確認や質問を行うことで、鬱陶しがられるケースが多い。一方、関わる人が困っているときは、自分が損をしても助ける傾向がある。

という性質があります。

人材育成にエニアグラム②性格タイプごとの傾向や成長ポイントを知ろう」より引用

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私は若いころから、「不安要素を無くしたい」「安心して仕事を進めたい」という衝動に影響を受けてきました。

色々なお客様のところで経験を積み、30代後半からエニアグラムを学びはじめ、自分がタイプ6であると認識してからも、「ああ、自分ってこういう思考パターンだよね」と、今思えば漫然と過ごしていたように思います。

しかし、この2020年に、実にいろいろなことが起こりました。
コロナウイルスの蔓延、お客様の売上減による仕事内容の変化、社会生活のルール変化など……
こうした変化の中で、当然思い通りにいかない不本意な出来事も多発します。

課題感や不安感で押しつぶされそうになった時、それまでの「気持ちよく仕事をしている」という感覚が、「自分の依存心」が引き起こした「錯覚」であったと気づかされました。

周辺環境の変化に、容易に揺さぶられる気持ち。
「不安を無くし、安定して仕事を進める」ことに近づこうと生きてきたはずが、自分が行っている仕事において「安定」には少しも近づいていなかったのです。

「自分の中の性質を捉えて受け入れること」を知識として学びながらも、その性質を使いこなそうとしていなかったことに気づき、非常に残念な気持ちになりました。

とはいえ、そこで自分の行動を変容するために役立ったの
も、やはりエニアグラムの知識だったのです。

エニアグラムを、自分を客観視するツールとして活用した

不本意な出来事を招き入れた自分を客観視したいと思い、「自分にとっての安定とは何か」を定義しなおしてみたところ、出てきたのは次のような要素でした。

◼︎真の安定とは自立である。

◼︎特定の相手に依存せず、自分に選択権がある状態が必要だ。

◼︎「業務遂行系」の受け身の仕事を減らし、「経営支援系」の価値創造型の仕事を増やすべきだ。

これらの言葉は、一般的なビジネス論としては「必要な要素」として語られますが、普段はタイプ6の人からはあまり聞かない言葉で、どちらかと言うと、タイプ3、7、8の自己主張型人材がよく話す方向性でした。

エニアグラムでは、タイプ6はストレス下の状況において、エニアグラム図上で繋がっているタイプ3の行動傾向が表出してくることがわかっています。

自分が現状を打破しようと考えている内容が、普段の自分の性格と異なり、自己主張性の高い内容でした。

それを客観的に見ることで、自分が非常に焦って不安の影響を受けている状態であると自覚することができました。

1~9のどのタイプにおいても、ストレス下では望ましくない態度や行動をとってしまいがちです。

たとえ周囲に悪影響を与えていても、それに気づかなかったり、あるいは悪影響を与えることから目をそらして自分を正当化する場合さえあります。

エニアグラムを学ぶことで、こういった悪影響や負の要素が怒りがちなことを把握し、対策することが可能になります。

私の場合、傾向として

①不安感の拡大、過剰確認の増加

②ストレス下での過剰な自衛行動、独善行動、萎縮/攻撃性の増加(関係性により変動)

③精神的シャットダウン(割り切り:仲間意識の放棄など)

などの要素がありますので、次のような対策を意識しました。

①そもそも物の見方がネガティブになっている。感情的な判断になっていないかどうか、冷静にチェックしよう。

②ストレスのエネルギーも、行動するためのエネルギーとして活用できる。重要なのは、プラスの行動にエネルギーを持っていくこと。

③主張と発信に取り組む。相手に積極的に関わる。相手の意思を尊重する。自分の主張は我慢するものではなくコントロールするもの。

①〜③の対策を実行することで、前向きな行動をコントロールし、状況を好転させることができました。

エニアグラムを、先読みのマネジメントに役立てたい

エニアグラムでは、それぞれの性格タイプに繋がりがあり、とくに線で繋がっている先について「分裂」と「統合」という考え方があります。

添付のエニアグラム図で言うと、自分のタイプに対して「矢印の出元」を「統合(とうごう)の方向」、自分のタイプから「矢印の行き先」を「分裂(ぶんれつ)の方向」と呼びます。

例:
・タイプ6は、統合の方向がタイプ9、分裂の方向がタイプ3

・タイプ3は、統合の方向がタイプ6、分裂の方向がタイプ9

・タイプ2は、統合の方向がタイプ4、分裂の方向がタイプ8

「健全度が高い」状態のとき、矢印が来る元のタイプの良い傾向が表出します。

私の場合、タイプ6は、「健全度が低い」状態のとき、タイプ3の悪い特徴が表出しやすくなります。

誤解を恐れずに端的に言えば、「タイプ6の私は、ストレス下の状況ではタイプ3のあの人と似たような言動や態度が出てくる場合がある」ということになります。

ここで注意しなければならないのは、他のタイプを否定するわけではなく、傾向に応じて自分をコントロールすることが重要だ、ということです。

タイプ3の特徴である「行動的であること」「主体的であること」自体はとても素晴らしいことで、これは普段腰の重いタイプ6としてはぜひとも活用したい力です。

しかし一方で、「他者とのコミュニケーションがおろそかになる」「調和・配慮の能力が減衰する」といったマイナスの傾向は、意識して制御しなければなりません。

これらのバランスを、客観的にチェックし、しっかりとコントロールすることが重要なのです。

エニアグラムは、情報量が多く、各タイプについて学ぶのは大変です。

しかし、本人がしっかりと自分のタイプに納得し、他のタイプについても学習を進めると、自分と相手の心の反応を補足し、コントロールすることに非常に役立つようになります。

これらのことから、私は関わった方々に、エニアグラムの楽しさや有用性をお伝えし、すこしでも興味を持っていただければ幸いだと思っています。

仕事場は人生の大半を過ごす「場」

2020年は、新型コロナ感染症による業務環境の変化などもあり、ぞれぞれにストレスを抱えた人材とのコミュニケーションが非常に増えた年でした。

それに伴い、相手の感情や思いをくみ取ってコミュニケーションをとる必要性が増しました。

誰もが、自分の「求める姿」「あるべきと思う結論」「望む結果」を得ようとして、それが得られないことでストレスを抱えます。

人事の仕事を行ううえで、相手の要望をすべて受け入れることは難しいでしょうから、エニアグラムに限らず、自分なりのコミュニケーションスキルを身に付ける必要があると思います。

人は、「自分のことを理解してくれる人」に心を開きます。

「相手をきちんと理解することに心を砕く人」であれば、心を開いてもらいやすい、ということも言えるでしょう。

もちろん一方的な決めつけは論外ですが、先人たちの知恵を社員の幸せのために使うことは、とても素晴らしいことだと思います。

社員一人一人にとって、職場で過ごす時間は、そのまま起きている時間の大半を占めます。

1年1年、長い時間を一緒に過ごすわけですから、その時間は社員それぞれが幸せであってほしいと思っています。

皆様の会社組織が、より良いものになるよう祈念いたします。

さいごに〜澄川さんにとっての2020年を総括すると?〜

澄川さん:
2020年は、カンテラとの出会いと、コロナによるお客様の環境変化により、変化の一年でありました。

卒業生として、真摯に学びあうメンバーの中に身を置き、常に自分の仕事にフィードバックする機会を頂けたことは、身に余る幸運であったとしか言えません。

だからこそ、来年もカンテラに参加されている皆さんとともに、人事や経営について学びあえる場が少しでも広がるよう、貢献していきたいと思います。

2021年もよろしくお願いいたします。

澄川さん、ありがとうございました!

マネジメントに関して学びたい方はこちら。

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執筆者

澄川寛

CANTERA ACADEMY8期卒業。

EC系ベンチャー立ち上げ参画→リクルートキャリア→電子カルテベンダー営業所責任者等を経て、株式会社リソーシズを創業。医療業界で経営コンサルタントとして活動し、事務長として複数の医療機関で経営支援を行っている。

人事コンサルティングでは、主に人間関係トラブルやマネジメント問題に対応。性格類型分析のエニアグラム心理学をベースに経営層/メンバー間の認識ギャップや意思疎通の改善を行い、その後は中長期で組織が活性化するよう、人員体制見直しや管理・教育制度の支援を行っている。

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