心にいつもGrowth-Mindsetを。

最終更新日:2020/12/28

Writing by:安松拓也

こんにちは。CANTERAベーシック3期卒業の安松です。

皆さんは、ご自身あるいは部下や周囲の人たちが、何かをきっかけとして、短期間で大きく変わった・成長したその瞬間に出くわしたことがありますか?

人が変わるかどうかはその人が持つ「知能観」―人間の能力の可変性に関する基本的な考え方―に強く影響を受けていると言われます。 読者である人事や組織マネージャーの皆さんは、周囲の人の成功や成長を支援する存在である方も多いはず。そんな皆さんは、どういう「知能観」をもって人(自分を含め)に臨んでいらっしゃるでしょうか?

3人のかつての部下のこと

私がこれまでマネージャーとして接してきたメンバーのことを思うにつけ、人のパフォーマンスは、能力の差異以上に、取り巻く環境の中でうまく力を発揮できているのか・いないのか?の影響の方が大きいのではないか、と思います。

私の配下となったメンバーで、当初力を発揮できませんでしたが、その後いかにして貴重な戦力となったか、3人の事例をもとに簡単に紹介いたします。

1.私の部下となった新人

同期がもう一人同じ部門(競わせるように同部・別チームへ配属)へ配属された新人がおりました。

別チームへ配属されたもう一人の新人は早々に仕事に馴染み、立ち上がりが早かったのに対し、私のチームへ来た新人メンバーはキャッチアップに苦労していました。

「彼の方はちょっと厳しいね…」という周りの声も。。。

2.中途入社で自分のチームへ入ってきた思い強めの若手メンバー

知識・スキルは十分にあるメンバーでしたが、「こうやりたい」との思いが強く、そこにこだわるあまり、スピードが上がらなかったり周囲とのコミュニケーションに苦労していました。

ある同僚からは「別の新たな人材補強を考えた方がいいよ…」と。。。

3.就任間もない迷える新リーダー

私の配下で、就任したてのリーダーがいました。一担当者からリーダーになった場合、チームの全メンバーの仕事を詳細に熟知して就任するわけではないケースが多いと思います。

そうすると、チームの仕事の全容をどう把握して、課題解決をしながら、チームとしての成果に導いていくか、最初はまったく見当もつきません。

とにかく目の前の事象に対応していくことで精いっぱい。彼もそんな状態にありました。「ちょっと厳しいのかなぁ…」私自身も弱気に。。。

いずれも、周囲からネガティブな見解が示される状態でした。

しかしながら私には、「この人が自分のチームに来たからには絶対に諦めるわけにはいかない!」という考え(意地?)がいつもありました。

私自身が彼らのためにしたことはとてもシンプルです。
そしてそれは彼・彼女らに徹底的に伴走することです。特別なことをしたわけではありません。

・毎週仕事の棚卸を一緒に行い、その週にあったこと・感じたことを振り返る

・翌週の仕事の進め方を本人が考える

・メンバーの思考する場に一緒に立ち会い、時折アドバイスや意見交換をしてみる

というくらいです。
しかしその積み重ねの甲斐があり、次第に彼らの状況は変わっていったのです!

彼らは徐々に力を発揮し始め、チームの仕事に貢献することのみならず、部門全体のコアメンバーと目される存在になっていきました。

Growth-MindsetとFixed-Mindset

私がなぜ「この人が自分のチームに来たからには絶対に諦めるわけにはいかない!」と思えたのか?

その背景となる私が出会った考え方を紹介します。

スタンフォード大学の心理学教授キャロル・ドゥエック氏は、Growth-Mindset(グロースマインドセット)とFixed-Mindset(フィックストマインドセット)という考え方を提唱しました。

Fixed-Mindset とは、「人の知性や能力は生まれつき。努力によって大きく変わるものではない。」という考え方。固定的な知能観であり、“素材重視”とも言えるでしょうか。

一方、Growth-Mindsetとは、「人の知能は努力によってどんどん磨かれる」という考え方で、人の能力を可変的にとらえる“調理重視”のスタンスです。

私見ですが、基本的に人間は生まれた時は皆、Growth-Mindsetを生得的に秘めているのではないかと思います。

赤ちゃんの深層心理がもしFixed-Mindsetであったなら、きっとあんなに色々なことに興味を持ったり、失敗から学んだりはしないと思うからです。

ただ、その後の体験によって、いずれの知能観をより支持するかは変わってきます。

私自身は、「自分は意外と変われるんだ」とハッとする体験をいくつもしてきました。

昔の例ですが、ある会社のある部署にいたときに、その組織の風土にどうにもフィットすることが難しく、全然成果を出せなかったことがありました。

周りの人は皆すごい人たちで引け目を感じるばかり。「自分はこの会社ではもう無理なのかな・・・」とも思いました。

しかしその後、(意図してかどうかはわかりませんが)お隣の部署への異動をきっかけに自分をリセットすることができ、当時の上司・同僚のお陰で息を吹き返すことができたことがあります。その時の周りの方々の助け舟の数々には本当に感謝しかありません。

こうした体験を経て、私自身はGrowth-Mindsetを支持する側となりました。
(日々の出来事の中で、たまに揺らぐことも正直ありますが。。。)

知能観と人事

私は、人の力を高め、結集して成果に結びつけることを生業(なりわい)とする組織マネージャーや、会社全体でそれを担う人事のポジションには、程度の差はあれ心のどこかにGrowth-Mindsetを持っている方が就くのが良いのではないかと思っています。

もちろん、マネージャーはメンバーと直接対話し成長を後押しする中心人物であること、人事は組織全体で人の成長を仕掛ける担い手であるからに他ならないのですが、それはなにも”青臭い”シーンでのみ必要なわけではありません。

マネージャーは、短い時間軸の中で厳しい判断やメンバーへのコミュニケーションをしなければならないことが多々あります。人事には会社施策として、従業員にとっては決して嬉しくない、厳しい施策を執り行わなければならないこともあります。

そんな”血生臭い”シーンにおいても、おいてこそ、どういうスタンスで人間に臨んでいるかは、周囲からはよく見透かされているような気がします。

例えば組織体質強化のため人事評価制度を改定し、厳格な評価でときに減給するメカニズムを導入した場合。

それは単に評価が下がると報酬が減るというロジックや事象の問題としてのみ設計するのか、そのロジックや事象を通じてどんなことを感じとってもらいたくて、そしてどう変わってほしいと思って作るのか。

この差はきっと、その制度の意義にも差を生じさせ、効果に大きな差をつけると思います。

おわりに

改めて、あなたは人の知性・能力の可変性について、どのように感じているでしょうか?

あなたのどのような体験がそう感じさせているでしょうか?

一度ご自身の記憶をたどり、振り返ってみると、人事や組織マネージャーとして、人に臨む時の心持ちに変化があるかもしれません。

さて、人は「素材」なのか「調理」なのか?という議論は常にあります。

もちろん、最高の「素材」を集め、最高の「調理」で活躍をしてもらうことがベストですが、なかなかそうはいかないのが現実。一部の傑出したタレントを除けば、私のような普通の人が普通以上に力を発揮できる組織が、きっと強い組織です。

私は現在、様々な会社で人事制度の構築・導入を中心としたご支援をさせていただいていますので、Growth-Mindsetを心に、「調理」=「組織の人材開発能力」を高めて事業・組織成長を支える取り組みに注力していきたいと思います!

人事としての専門性を高めたい!とお考えの方はこちらを是非ご覧ください。

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執筆者

安松拓也

CANTERA ACADEMY Basic3期卒業。

医療機器販売会社・ソーシャルメディア/ゲーム会社・大手精密機器メーカーにて人事の実務およびマネジメントに従事。

各社いずれも経営変革の潮目に在籍し、事業戦略の実現を目的とした人事制度改革や人材育成施策の企画・立案・実行にあたってきた。

現在は独立し、フリーの人事コンサルタントとして活動中。

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