キャリア自律のための羅針盤

最終更新日:2020/12/29

Writing by:長谷川貴久

2020年も残すところあと数日。年初より駆け抜けるように過ぎた1年を振り返ると、皆さま同様にコロナ抜きに語れぬ1年でありました。

CANTERAノートをご覧になっていただいている多くの経営層や人事の方は、この未曾有の状況で「健康」という何事にも代え難い課題に直面する中、試行錯誤を繰り返されいらっしゃることと思います。そのご苦労は想像に難くありません。

ワクチン接種などの前向きな報道も目にしますが、状況が完全に改善するにはまだまだ時間が必要でしょう。その間にも、我々は止まることなく前へ前へ進み続ける必要があります。

こうした難しい状況ですが、来年をより良い1年にするため何を大切にしていきたいか、感じたことを記してみたいと思います。個人的な振り返りの内容となっておりますので、ご承知の上お付き合いいただければ幸甚です。

問題のセンターピンから目をそらさない

戦略人事講座CANTERAアカデミーでは、その卒業生が有志勉強会を開催しています。その時々に参加メンバーが抱えている課題をテーマにディスカッションを行うのですが、今年はコロナ禍による課題があふれ出ていました。例えば、以前にこのCANTERAノート《Withコロナ時代に問われる人事の本質》でも取り上げさせていただきましたが、多くの人事パーソンの口から聞こえてくる課題としましては、

・在宅勤務やオンライン化で、マネージャーが部下の業務管理ができなくなって困っているという相談が増えた。

・評価制度が機能しない。在宅勤務が進み仕事ぶりが見えないため正確な評価が出来ず、会社と従業員が納得する運用が出来なくなってしまった。

・実技やディスカッションが中心のため、研修を実施することができない。また、オンラインの研修は相手の熱量や理解度、微妙なニュアンスが伝わりづらく、効果が期待し辛い。

・雑談や世間話などのフランクなコミュニケーションが減ったため、組織の一体感を醸成しづらくなっている。特に、新メンバーと距離感を感じることが多い。

などなどが挙げられています。

それぞれの課題を一つ一つ解きほぐしていきますと、「コロナ前からうまく運用できていたわけではないが、コロナ禍でその課題が表面化したため気付かされた」という感覚をお持ちな方がとても多かったのが印象的でした。

新たな課題が出てきた時はどうしても手段の議論に走りがちになりますが、表面的に見えている課題の奥に本当の原因があるものだということを改めて痛感した次第です。

来年もこの「課題の本質を考える」「問題のセンターピンから目をそらさない」ことを大切にしたいな、とあらためて思う1年でした。

成長は目的ではなく手段だ

「成長したい」

人事業務に携わる方は、面接や面談の場でこの一言を聞く機会が多いのではないでしょうか。

成長したいと思うことは非常に素晴らしいことです。これについては、誰も異論はないでしょう。

一方で「成長しなければならない」と思わなければならない風潮も強くなっているように感じており、なぜ成長したいのかを見失い疲れてしまっている方もいるように感じることも増えています。

自分のキャリアは本来ワクワクして考えた方がハッピーなことなのに、なぜか苦しんでいる。そんな「成長したい」方と接する度にモヤモヤしたものを感じていました。

そんな中、そんな印象的な出来事がありました。

今年、自社の担当営業の方が他事業部に部署異動になると報告があった際のやりとりのことです。

この方は非常に優秀な方で、当社にとっても非常に力強い存在であったと同時に、社内での評価も高かったようで数々の社内表彰を受けている方でした。

本人からそれまでの仕事にやりがいを感じているという話も聞いていましたし、高い成果を上げていたことから別の事業部に異動するという話を聞いたときはとても驚きました。

また、それが本人希望による異動だと聞きさらに驚かされましたので、その理由を尋ねることにしました。

すると、「私、成長したいんです!」と曇りないまっすぐな視線で答えてくれたのです。

意外な答えに驚き、そしてちょっとモヤっとしたため「なぜ成長したいのか」とさらに質問を重ねますと、

・周りの人が自分の姿を見て1つのロールモデルとしてもらえるよう、自身の価値を高めたい。そのために、幅広く価値提供ができる人材になるべく、他事業の仕事にチャレンジしたいと考えている。

・正直、とても悩んではいた。成果の出ている仕事から離れて新しい仕事にゼロからチャレンジするのはとても勇気のいること。しかし、この目標があるからブレずに意思決定できた。

と答えてくれました。

この話を聞きモヤが晴れ、そして、このチャレンジを心より応援したいと心より感じたエピソードでした。

なぜ成長したいのか、成長して何を為したいのかについて悩んでいる方も多い中、“何を目的とし、何を成し遂げたいため、どのように成長するのか”を自身のキャリアとして腹落ちすることの大切さを改めて気づかされたからです。

キャリアにとって成長とは目的ではなく手段であるということ。

日々の仕事のなかで、どうしても現実的な部分に目が向いてしまいがちなため忘れてしまうこともありますが、年末年始は目線を上げて自分の目的について再確認する良いタイミングです。

新たな年を迎えるにあたり、キャリアを通じて社会にどのような価値を提供できる人材になりたいかを、自身のキャリアを見つめなおして来年の行動に移したいなと思っています。

人事の本気で日本を元気に!

さて、人事として課題の本質に向き合い、価値提供できるスキルが身につく場としてCANTERAは活動しています。

人事としての基礎知識を体系的に学び、そして、頼れる仲間を得ることができる場としてのCANTERAアカデミーは、来年も順次開講していきます。

卒業生の結びつきは非常に強く、コミュニティは非常に盛り上がっています。

知見をシェアしアップデートする勉強会が頻繁に開催されていますし、また、実践的な能力や経験を積むためのスキルシェアの経験を積むことも可能です。

さらに本質を考える際にはコーチング的なアプローチが効果的ですが、今ならCANTERA アカデミー参加者特典としてプログラム代表を務める堀尾さんやCANTERAメンバーによる1on1を受けることもできます。

人事の本気で日本を元気に!

来年度も様々な活動を通じて、人事を、企業を、社会を元気にする活動を行っていきます。

そして、その仲間は絶賛募集中ですので、皆さまのご参加を心よりお待ちしております!

来年も皆さまにとって良き一年になりますように。

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執筆者

長谷川貴久

CANTERA ACADEMY1期卒業。

CANTERA卒業生の有志勉強会である「CANTERA放課後倶楽部」の企画・運営に携わる。
新卒で製造業に入社。営業、人事等を歴任。人事歴は10年超で、人事・給与設計から採用、労務等の人事業務全域を幅広く経験しています。
入社後のビジネススクールに通うなど個人のキャリア育成に関心があり。また、育児休暇を取得するなど、2児の父として家庭とキャリアの両立の”実践”にもチャレンジしています。

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