全ての企業がダイバーシティ推進に本気で取り組むべき理由とその方法

最終更新日:2021/01/03

Writing by:吉川和志

ここ10年ほど企業の持続的成長において、ダイバーシティの必要性が叫ばれるようになっております。

しかしなかなか取り組みが進んでいなかったり、そもそも自社とは縁のないものと切り離されている方も多いのもまた現実ではないでしょうか。

今回は全ての企業がダイバーシティ推進に本気で取り組むべき理由とその推進方法についてご紹介したいと思います。

ダイバーシティとはなにか

まずはダイバーシティの定義についてですが、経産省が発表している「ダイバーシティ2.0」から定義を引用すると、「多様な属性の違いを活かし、個々の人材の能力を最大限引き出すことにより、 付加価値を生み出し続ける企業を目指して、全社的かつ継続的に進めていく経営上の取り組み」とあります。

簡易に言い換えますと、「性別や人種の違いなどに限らず、多様性を受け入れ、幅広い人材を採用し活躍してもらうこと」になると思います。なぜダイバーシティ推進が求められるのか、その意義とともにご説明していきます。

ダイバーシティ推進の目的

ダイバーシティ推進の第一義は、偏見や差別の意識に囚われずに、平等に均等に、雇用機会や待遇を提供するという社会的責任だと思います。そして企業の成長に大きな効果をもたらします。

大きな効果といたしましては、

①多様な人材に活躍してもらうことで、新たな価値を創造する

②労働力の不足を解消する

という2点です。

ではなぜ企業がダイバーシティを推進すべきかと申しますと、少子高齢化によって日本の労働人口が減少しており、将来的に労働力不足による危機を迎えることが想定されるからです。

近年減少局面を迎えている日本の労働人口は、2040年に現在の20%減となる試算もあります。これは非常に厳しい水準で、日本企業にとっての危機であると思われます。

出典:経済産業省「2050年までの経済社会の構造変化と政策課題について」平成30年9月

企業成長のためには人材の力が必要になりますが、このきたるべき危機を乗り切る方法は以下の3点です。 

①従来通りの人材を獲得し続けること

②一人ひとりの労働生産性を向上させること

③ダイバーシティを推進し新たな人材を迎え入れ活躍してもらうこと

ただ労働人口の減少局面で、従来の組織にいたような人材だけの採用は、小さくなるパイの奪い合いとなり、いずれ難しくなるのは明白です。

また労働生産性の向上をAIやDX等に頼ることも可能ですが、急速な労働人口の減少をカバーできるかはそれだけでは困難と考えます。

持続的に企業が成長を実現するには、どのような時代や環境でも必要な人材を確保できるようなダイバーシティ推進をおこなっていくことが必須になるのです。

ダイバーシティ推進に伴う課題

ただしダイバーシティ推進には様々な課題が伴います。それらを解決するためには、一定の時間もまた必要になります。

人材採用には時間がかかります。
しかしこれまでの自社にいない人材を採用するということは、自社の文化に一石を投じることにもなります。

ダイバーシティ&インクルージョンという言葉があります。
多様性を持つ人材に活躍してもらうフェーズに到達しようとすると、人材の定着、そして文化の形成が必要になります。ダイバーシティは一長一短では実現せずとにかく時間がかかるものなのです。

ダイバーシティ推進を成功させるポイント

ここまですべての企業がダイバーシティ推進を行う必要があることについて述べてきましたが、実際に進める上でのポイントについて説明したいと思います。

1.採用を始めるまで

1)社内でダイバーシティを図る目的を確認する。

ダイバーシティを推進するということは、従来の社内環境にはいないような人材を採用していくことになるため、組織全体でその必要性と目的が明確にしておく必要があります。

そして持続的に活躍してもらうためのインクルージョンを実際に行うのは現場です。経営サイドだけでなく、現場も含めその重要性を認識しておかなければ人材の定着、文化の醸成には繋がりにくくなります。

2)ダイバーシティを図らない部分について確認する。

ダイバーシティ推進は、とにかく多様な人材を採用すればいいというものではありません。

組織として機能させていくためには、組織に必要とする人材の要件定義(ダイバーシティを図らない部分)を決め採用を行わなければ、ただバラバラな人材を集めただけでインクルージョンの活動では対応しきれないものなってしまいます。

候補者のマインドに関する要件定義については特にですが、経営目的に基づいて、求める人材を再定義しなければなりません。

3)トライ&エラーの要素が強いことを認識する。

新卒採用の離職率が3年で3割といわれている通り、従来通りの求める人材を採用しても一定数は様々な理由により辞めてしまいます。ダイバーシティを推進する過程では、その割合はさらに高まると考えられます。

一人採用して辞めてしまったからダイバーシティは難しいと諦めてしまうのではなく、トライ&エラーを繰り返しノウハウの蓄積を図っていくことが必要になるため、失敗を事前に織り込みプロジェクトを進めることが必要です。

2.採用にあたって

重要な点はダイバーシティによる候補者の有利・不利を理解し本質を見ること。

外国人採用などでは日本語が不自由な人材が候補者となることもあり、受け答えが従来の候補者と比べスムーズにいかないことが目についてしまうことがあるかと思います。

しかし面接時にはそういった有利・不利を差し引いて評価し、事前に決めた要件定義に基づいて求職者の本質を見極めることが必要です。

採用コースを分けて、面接時に着眼するポイントを絞ることなどはその一例となります。

3.採用後のフォロー

1)オンボーディングにおける5つの壁を取り除く

オンボーディングにおける5つの壁を、従来の人材以上に丁寧に取り払ってあげることが必要になります。本人が疎外感を感じないようグループを見つける手配などを様々な配慮を施してあげることが必要になります。

参考:オンボーディングプログラムの設計について

2)ダイバーシティによる不利をできる限り取り除く。

多様な人材を採用すると、就業環境の思わぬところに問題がでてきたりします。本人が申告しやすい心理的安全性の確保と、対話の機会を積極的に作っていく必要があります。

またそこで上がった課題に対してはできる限り応えてあげることが必要になります。

ダイバーシティの推進は、そういった環境がより一層必要なるでしょう。
環境を整備することが後の採用にもつながっていくことは間違い無いでしょう。

運用面でカバーする方法と、思い切って投資をおこない整備していく方法と長期的な視点で検討することが大事になります。

最後に

日本の人口減少により従来通りの人材採用は難しくなっていきます。それに伴い多くの会社がダイバーシティの推進を進めていくことになりますが、多様な人材が活躍している状態まで到達しようと思うと忍耐強い長期的な取り組みが必要になります。

経営と現場がダイバーシティの重要性を本気で認識し、一体となって取り組んでいくことが、企業の持続的な成長のために必須となります。

ダイバーシティ&インクルージョンなどについて詳しく学びたい方はこちら。

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執筆者

吉川和志

CANTERA ACADEMY 12期卒業

2017年に新卒で関西の一部上場メーカーに就職し、人事部に配属となり、新卒採用、有期雇用採用などの採用領域についてのプロジェクトマネジメントを経験。4年目からは海外事業部に配属となり、海外子会社の人事制度改訂や、グローバルでの等級制度、育成体系の構築のプロジェクトを目下推進中。

全ての企業がダイバーシティ推進に本気で取り組むべき理由とその方法

ここ10年ほど企業の持続的成長において、ダイバーシティの必要性が叫ばれるようになっております。

しかしなかなか取り組みが進んでいなかったり、そもそも自社とは縁のないものと切り離されている方も多いのもまた現実ではないでしょうか。

今回は全ての企業がダイバーシティ推進に本気で取り組むべき理由とその推進方法についてご紹介したいと思います。